おつきさま

はごろも天使の薄皮剥いで

お月様に見せびらかしましょ、お返しに

排しましょ、張り詰めた空気なんて、ただの毒

肺の空気をうっちゃって、二十日鼠にお裾分け


これで、ふうせんかずらになれますか?


月はとうの昔に死んでいて

美しいのは面影だけがよりどころ

指の絡まり、指のぬくもり、指のほどけが遠退いて

指先に残るのは、言葉足らずの思いだけ


思いの丈のたが外れ、抜け落ちるのは、己の骨子

骨壺で受け止めるのは、いささか危うく

しばしば思う、忘れ形見があったはずなのに

中身がなければ、肝は冷やせない


ありがとうといただきますが愛し合い

産まれたあいさつ何通り?

ワルツを踊ろう、うん喜んで盆踊り

言葉の内で笑うのは、失語症の軽口男

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