ラウンドアバウト
おこげ
第1話
ここ最近の
1LDKの彼の家には、今年で三年目になる恋人・
湊が家を出ていくのをリビングの
一時間後、行彦だけとなった家にインターホンの音が広がる。彼はいそいそと玄関に向かい、扉を開けた。
「おはようございます、先輩♪」
そこには小柄な少女・
「これどうぞ、生菓子です」と京は手にしていた紙袋を彼に差し出す。「実家から送られてきたんですよ。友達にも渡しなさいって」
「へぇー、ありがとう。湊が帰ってきたら頂くよ」
「あ、湊先輩にはあとで別のを渡すんで」
「そっか。じゃあ二人で食べようか」
紙袋を受け取る行彦。
すると突然、京が抱きついてきた。
「……会いたかった」
行彦の胸のなかで京は呟いた。
「先週も会ったじゃないか」
「一週間なんて、長すぎるよ……」
行彦はしがみつく京の頭を優しく撫でた。それから両肩に手をかけ、彼女を起こしてやる。
行彦の胸から離れた京は苦しそうに息を漏らし、ねだるような眼で彼を見つめた。
涙を浮かべた瞳。
赤らんだ頬。
もの寂しげな唇。
それを見て、行彦は京に顔を近づけた。背丈の低い彼女のために前屈みになって、京は京でつま先立ちになって、眼を伏せ、長く甘い口付けを交わす。
やがてそれを終えると、行彦はもう一人の恋人を連れて家のなかに戻っていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます