第121話:内政改革

 そして聖帝国の建国から二年、国の制度が徐々に整ってきた。

 リカルド聖帝の基本方針の元で、政策を検討する重臣が決められた。

 重臣の下に内政を担当する文官と軍事を担当する武官に分けられる。

 内政は外交・徴税・農政・行政・司法・治安及び警察に分かれている。

 軍事は魔境防衛・遊撃・拠点防衛・自警・屯田・騎士団・徒士団に分かれている。


 聖帝国は大陸の大半を支配下に置いている超大国だ。

 だが大陸の置かれている現状から言って文化国ではない。

 常に魔族来襲に備えなければいけない軍事国家なのだ。

 収入の大部分は魔族対策に使われることになる

 フィフス王国の税収と大陸各国の支援に頼っていた頃に比べれば、十数倍の予算を使い常駐戦力も増やして魔境警備できる。


 具体的には以下の貴族領と騎士団駐屯地が、魔族対応のために格上げされた。


 ベッカー宮中伯バーツ卿が辺境伯に陞爵された。

 宮中伯領が辺境伯領となり、軍事的な権限も領主としての権限も大きくなった。

 拠点となる居城はフィエン城のままで、城名も変えられなかった。


 セグレイブ男爵は子爵に陞爵され、ベッカー辺境伯バーツ卿の指揮下に置かれることになった。


 アクス城伯クバント卿も辺境伯に陞爵された。

 城伯領が辺境伯領となり、軍事的な権限も領主としての権限も大きくなった。

 拠点となる居城はアクス城のままだった。


 元フィエン公爵家騎士団長アイルが城伯に叙爵された。

 偽勇者の討伐と魔境警備、魔族侵攻に対処した褒美だった。

 それまで通りリカル王太子第三騎士団だった部隊を団長として指揮する。

 その騎士団はアクス辺境伯クバント卿の指揮下の置かれるようになった。

 

 両辺境伯とも聖帝国貴族であり大将軍の上席である。

 辺境伯は大将軍の上席、領地を与えられた大将軍なのだ。

 その為フィフス王国は領地を削られた形になる。

 そのことも考慮され、旧ウェルズリー王国領はリカルド聖帝が王太子時代に直轄領としていたのだが、フィフス王国領とされた。


 またフィフス王国のノウェル辺境伯だったジント卿は、聖帝国の辺境伯とされ三倍の生産力を持つ大山脈沿いの領地に転封された。

 ノウェル辺境伯領とノウェル城はフィフス王家の直轄領とされ、フィフス王国徒士団が常駐することになった。


「父上様、前のお城に戻れないのですか」


 バートランドが哀しそうな表情をしながら、とても寂しそうな態度でリカルドに話しかけてくる。

 リカルド聖帝は罪悪感で一杯になったが仕方がない事だった。


「すまないな、あの城は御爺様に返して魔族の来襲に備えなければいけない。

 何時でも転移できるように居館は封印して出入り禁止してあるが、普段は行かないようにしてあるから諦めてくれ」


 カウリー伯爵ライラ夫人が子供と住んでいたカウリー城と、ダドリー伯爵ローザ夫人が子供と住んでいたダドリー城は、聖帝の居館と王の居館を除いてフィフス王家に直轄領とされ、駐屯騎士団と徒士団が居住して護ることになった。

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