第129話それは過去の栄光
瞬殺された堕天使たちをしり目にあたしたちは城の中に入って行く。
「イオマっ! 出て来なさいですわ!!」
あたしはそう叫びながら城の中のホールを見渡す。
「ふっふっふっふっふっ、やはりあいつらでは力不足か。しかしここから先は‥‥‥」
「邪魔ですわ!」
どかーんっ!!
思わせぶりな演出する残りの堕天使たち六人をあたしは吹き飛ばす。
「うぎゃぁー! 台詞くらい言わせろぉっ!!」
天秤を持った奴やサソリっぽいやつ、ケンタウロスやヤギ頭、水も滴るイケメンや筋肉お化けの堕天使たちに何言わせず片付ける。
ぼてっ!
「ううっ、せっかくの出番が‥‥‥ がくっ」
「出て来るならまとめて出て来なさいですわ。こちらは忙しいのですからですわ!」
あたしがそう言い上階への階段を見つけるとそこにはデルザが立っていた。
「流石は我が主様。あれほどの悪魔どもをものともせず一瞬で片付けるとは!」
「デルザ、イオマは何処ですの!? そしてティアナは!?」
あたしにそう問われてデルザは頭を振る。
「主様、どうかイオマ様をお助け下さい」
「デルザ、どう言う事でいやがりますか!? 私の教えにまで背いてメイドの本業をないがしろにしただけでは無く仕える者の身に何か有ったとなればメイドとして失格でいやがりますよ!?」
クロエさんにそう言われデルザは更にうなだれる。
「イオマ様は‥‥‥ イオマ様はおかしく成られてしまったのです!!」
「‥‥‥ベーダはどうしましたの?」
「ベーダは赤毛の少女を守る為イオマ様の攻めを受けております‥‥‥」
一体どう言う事よ!?
ベーダがティアナを守っている?
イオマに攻められている??
「デルザ、詳しく話なさいですわ」
* * * * *
「つまりイオマ自身が自分を押さえられなくなっているというのですわね?」
「はい、主様その通りにございます。 いえ、そうとしか思えないのです!」
あたしたちはデルザに連れられ魔王城の謁見の間に向かっている。
そこにイオマがいてあたしのティアナがいるそうだ。
そして今のイオマは狂ったかのようにティアナを傷つけようとしているらしい。
だがその言動と行動が伴っていないとの事だ。
「ベーダはイオマ様に言われ赤毛の少女を守っています。そしてそんなベーダ共々イオマ様は二人をなぶるかのように痛めつけようとしています」
聞けばイオマは口ではデルザやベーダにティアナを守るよう厳命しているのにそのティアナに向かってあの鞭を容赦なく振るっているとか。
勿論意思を閉ざされた操り人形の如きティアナは避ける事も守る事もしない。
ベーダは振るわれる鞭を身を挺して受け止めそしてティアナを守っているらしい。
「しかし言動と行動が伴っていないとは‥‥‥ まさか過去の『魔王』に意識まで浸食されているのでしょうか、お母様?」
「どちらにせよイオマじゃないわね。いくら何でもそんな小さな子に鞭を振るなんて!」
「お母さんが心配、早く行こうよ、エルハイミ母さん!」
セキに言われるまでもなくあたしは急いで謁見の間を目指す。
「主様、こちらです!」
デルザに言われ大きな扉の前までやって来る。
そしてデルザはその扉を押し開けた!
「うふふふふふっ! お姉さまぁ、やっといらしたァぁぁあああああぁぁぁぁっ!!」
壁にベーダを張り付かせ触手でうねうねと取り込んでいる。
そして嬉しそうにあの鞭を舐めまわすイオマがそこにいたのだった。
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