第15話赤い髪の子
あたしたちはファイナス市長に連れられて赤い髪の毛の子供が生まれたと言う家に向かっている。
「って、うちの実家の近くなの?」
「そう言えばシェルの親御さんの家の近くでしたね。シェルの両親は元気ですよ、先に挨拶していきましょうか?」
ファイナス市長はそう言ってくれる。
一応義父と義母なのでお土産とか持ってきている。
「いやいやいや、戻ったら何言われるか分かりません。ここはこのままスルーしましょう、ファイナス長老!!」
慌ててシェルはそう言うがそう言う時に限ってそう上手く事は行かない。
「あらぁ、シェルじゃない。どうしたのいきなり村に戻ってくるなんて?」
「げぇっ! お母さん!?」
ほらやっぱり‥‥‥
声のした方を見ればシェルに似た少し年上のお姉さんにしか見えないシェルの母親、あたしの義母が立っていた。
そしてそのお腹が膨れている事にもう一度驚かされる。
「え、えっと、お義母様ご無沙汰しておりますわ‥‥‥」
「あらぁ、エルハイミちゃん。こんにちわ。って、どうしたの二人とも? あ、もしかしてこれ?」
そういってお義母様はお腹をさする。
「頑張った甲斐が有って出来たのよぉ~。シェル、今度はあなたもお姉さんよ。弟か妹かまだ分からないけどもうすぐ生まれるわよ~」
にこにこしながらそう言っている。
「お、お母さん。何時の間に‥‥‥」
「シェルの母親は良くどうしたら早く子供が授かるか聞きに来ていましたね。村より外界の方がそう言った事に長けているヒュームが多いですからね。イチロウの栄養がつくと言う食事も役に立ったようですしね」
お義母様は頬に手をあて「ええ、それはそれは助かりましたわ~。あの人が無理やり元気になるようにして久しぶりに満足できましたもの~」なんてちょっと頬を染めて言っている。
大丈夫なのかお義父様‥‥‥
「じゃあ、シェル家に来るのでしょ?」
「い、いや、お母さんあたしたちはファイナス長老に頼み事されているのだけど‥‥‥」
「あら、そうなの? じゃあ終わったら寄っていきなさいね?」
シェルは嫌そうに「‥‥‥う、うん」とだけ言ってこちらに来てしまった。
あたしは一応挨拶してファイナス市長と目的の家に向かう事とした。
「あれがシェルさんのお母さんかぁ。凄い美人だったね」
「僕はシェルさんのお姉さんかと思いましたよ。ほとんど年の差が感じられない」
「うーん、私たちってみんなあんな感じよ? だから外の世界がとても新鮮に感じられ誰が年取っているとか一目瞭然なのは驚きだったのよねぇ」
シェルはそんな事をカルロスやバティックと話している。
「さあ、着きましたよ。ここです」
ファイナス市長はそう言って幹に埋まっている家の扉をノックする。
コンコン。
そしてしばらくするとげっそりとしたエルフの男性が出てきた。
彼はファイナス市長の顔を見るとホッとした感じで話しかけてくる。
「ファイナス長老、お待ちしておりました。ささ、中へどうぞ」
「お邪魔しますよコストン、ロマーニやマローネは中に?」
どうやらコストンさんと言うらしい。
あたしたちは家の中へと招かれる。
中へ入ると個人間割りとした感じのリビングだった。
そしてそのソファーに座る女性のエルフと抱きかかえられる赤ん坊。
赤ん坊は布で包まれていてここからではよく見えない。
「紹介します。こちらはエルハイミ=ルド・シーナ・ガレント、そして弟のバティック、カルロス兄弟。ショーゴ=ゴンザレス殿にコクさんにセキさんクロさんクロエさんです」
「あ~、あたしもいるぅ~!」
「あらあらごめんなさい。フェアリーのマリアさんもいましたね」
シェルの肩から勢いよく飛び回ってファイナス市長に自分をアピールする。
「フェアリーとは珍しい」
「前にもここには来たんだよ!」
少し驚くコストンさんにマリアは得意げに言っている。
「さて、こちらはコストン。そして彼の妻であるロマーニです」
ファイナス市長にエルフの夫婦を紹介される。
ロマーニさんは立ち上がり会釈する。
「そして問題の子供、名前をマローネと言います。女の子です」
そう言ってロマーニさん共々マローネちゃんを呼び寄せる。
ロマーニさんはこちらに来る。
少し震えているけど別に取って食う訳では無いのでそんなに怖がらなくてもいいのに。
「まさかマローネの子供だったなんてね‥‥‥」
「シェル? あなた人間の女性と一緒になったって聞いてたけど」
「そうよ、これが私の旦那様! エルハイミよ!!」
シェルはそう言ってあたしの腕を取り抱き着いてくる。
「うっ、シェルあなた本当に女が好きなのね? マーヤも好きだったし、私にもしょっちゅうちょっかい出してたし‥‥‥」
なに?
シェルの奴村のマーヤさん以外にも手を出していたの!?
「何言ってんのよ、あんなのただのスキンシップでしょ? そりゃぁ胸とか触りまくったけど。だってマローネの方が胸大きいんだもん!」
一体どんなスキンシップしてんのよ?
「駄目だからね、この子に手を出しちゃ‥‥‥」
「いや、流石に赤ん坊にどうこうはしないって。それに今はあたしにはエルハイミがいるしね!」
そう言ってあたしの肩に顔を擦り付けてくる。
あたしよりちょっとだけ身長が高いからうざい。
あたしが魚の死んだ目のようにして我慢しているとファイナス市長が話を進めた。
「さて、エルハイミさん。あなたは魂の色やその性質が見る事が出来るのですよね? 早速ですがこの子の魂を確認してください。そして万が一の場合は‥‥‥」
みんなが息を呑む中ロマーニさんはその赤ん坊を差し出すのだった。
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