第2話
僕は助けられるかどうか考える暇もなく、慌てて弁当の風呂敷を体の前で広げて、彼女を受け止めようとする。幸いにも風がなかったので、落下点がズレることはなかった。
彼女の体重が、僕の華奢な二本の腕にのしかかる。風呂敷は、彼女の腰の負担を和らげる良いクッションになった。彼女は瞬きして、僕を見ている。
「だ、だ、大丈夫?」
僕がぎこちなく問いかけるも、彼女はそのまま気を失ってしまう。
「おーい! 大丈夫かぁ?」
先生が、頭上から呼びかける。僕は先生を見上げて、黙ってうなずく。「そこで彼女を見ておいてくれ」と言われたので、僕は彼女を地面にそっと下ろした。
彼女は流れるようなサラサラした長い黒髪を持ち、少しふっくらした顔立ちをしていた。右手には包帯がぐるぐるに巻かれていたので、僕の顔は青ざめる。本気で死にたがっていたようだ。
その後、生徒指導の先生と保健室の先生がやって来て、彼女を運んで行った。僕は、もう二度と彼女と会わないだろうと思った。
(続く)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます