混合文芸概論

鶴崎 和明(つるさき かずあき)

第1話 総合文芸誌論

元々私は高校文芸の出身であり、総合文芸誌ということが常に念頭に在る。


ここでいう総合文芸誌とは、小説、文芸評論、随筆の散文三部門と詩、短歌、俳句、川柳の韻文四部門を組み合わせて作る文芸同人誌を指す。

私が部活動として文芸創作を始めた頃、私の住む県では小説と詩で構成された部誌(部活動にて発行する総合文芸同人誌)がほとんどであった。

そこで、元々文芸の「ぶ」の字も知らなかった私は手を広げて創作することとした。

今思えば、若気の至りの恐ろしさを感じざるを得ないが、それが今の創作活動に大きな影響を与えている以上、私にとっては幸いであった。


さて、混合文芸を目指すうえではこの総合文芸誌を利用するのが最も効率が良い。

私の場合には、部誌の創作を通して自然と鍛えられた。

コンスタントに創作をする必要があり、批評を受けやすく、バランスを考える必要もあって単純に投稿するよりも効率が良い。

学生時代を過ぎてしまえばこの手は使いづらいが、学生時代には大いに利用したい。


では、総合文芸誌を作るうえで気を付けたいこととは何か。

それは作品の分量と配分である。

どうしても、散文はページ数を割いてしまいがちであるが、それを集中させてしまえばバランスが悪くなってしまう。

一方で、韻文も俳句などの短いものから、百行を超えるようなものまである。

例えば、高村光太郎氏の「道程」は元々一〇二行の作品であったのを、詩集で九行に絞っている。

これだけ重さが変われば扱いが変わるのも自然であり、配置によってはその意味合いも大きく変わってくる。

そして、できた作品を全て載せては分量が多くなりすぎてしまうこともあるので、そうした場合には作品数を削ったほうが良い。


例えば、実際に私の高校の頃の作品を集めて文芸誌を作ろうと試みたところ、以下のような構成となった。

・巻頭詩・巻頭言(二頁)

・随筆(五頁)

・詩三編(七頁)

・文芸評論(七頁)

・俳句(二頁)

・小説(六頁)

・随筆・紀行文(十五頁)

・短歌(三頁)

・詩三編(十頁)

・小説(十五頁)

・編集後記(一頁)

基本的には後半に文章量が多い作品を集中させている。

個人的な趣向ではあるのだが、可能な限り緩急をつけるように心がけている。

ただ、ここで言いたいことは単純にこうした構成がいいという論評ではなく、こうした構成を考えることが作品の構成にも影響を及ぼす、ということである。


一つの物事に専念することで深まる世界もあるが、多くの物事に触れることで広がる世界もある。

そうしたもう一つの文芸の在り方を、少しでも紹介できれば幸いである。

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