プロローグ2

「うむ、よく成長したものだ」


 北に海、南に山と、二つの自然が同居する街、桂木町かつらぎちょう

 その山の方にある教会の地下には隠し部屋があり、霧島きりしま沙耶さやの裸体はそこで、燭台の灯りに照られされていた。

 そんな沙耶を前にして満足げな笑みを浮かべているのは沙耶の育ての親であり、教会の神父でもある義父だ。

 年齢は四十を超えたばかり。やせ形ですらっとしているとはいえ、髪は白髪混じりで無精髭も生えている。白衣を身に纏った背も丸まっており、年齢よりもかなり年上に見えるだろう。

 彼は沙耶に裸になるように命じた男でもある。

 その場で起立をするようにも命じて、女性特有の発育を始めている身体を眺め続けていた。

 彼の視線といえば、沙耶のクラスメイトの男子が向けるようないやらしいものではない。心の底から娘の成長を喜んでいるような、満足しているようなものだ。


「そこにうつ伏せになりなさい」


「……はい」


 義父に優しく声を掛けられて、沙耶は床に敷かれているマットの上にうつ伏せになった。

 なんの変哲もない、ただの無地のフロアマットだ。年齢にしては大きな彼女の二つの胸元にある二つのふくらみが、その上でふにゅりと潰れている。


(いったい、なにをされるのだろう?)


 そんな風に沙耶が思っていると、


「それじゃ、始めるよ」


 耳元に、養父の声が掛けられた。

 直後のことである。


「ひぁっ! あ、熱いッ……!」


 いきなり背中に激しい熱を感じて、沙耶は叫んだ。

 続いて、痛みも襲い掛かってくる。


「お義父とうさん、これは……?」


「黙って、じっとしていろ」


「あっ、やだっ……! やめて……! 熱い……やっ、あっ、ひあぁあッ!!」


 沙耶がいくら懇願しても。

 悲鳴をあげ続けても。

 義父がやめることはない。

 一時間以上もの間、行為はずっと続けられて——。

 喉が嗄れるほどの悲鳴を、沙耶はあげ続けることになった。

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