第39話



 雨が降っていた。

 俺はそれが気に入らなかった。旅の途中、俺の気分に適さない時に雨が降るのを許せない。


「あー、土砂降りだねぇ、おにーさん」

「なんでついてくる?」

「おにーさんがあたしの職場を破壊したからなんですけど」


 それもそうだ。そういうわけで、ミーナはついてきた。

 クソ、足元がぬかるむ。


「どっかで一休みします?」

「そんな必要はない。このあたりに錬金術師はいるか」

「え、いますよ。裏山のあたり……」

「じゃあ、そいつに会いにいく」


 裏山か。クソ、道がドロドロしている。

 俺は雨の日は外に出たくないんだ。


「おにーさん、フードつきの服ないの?」

「そんなものない」

「今度買ってあげるよ」


 ふん。いいやつだな。

 誰も俺の心配をしてくれない。

 俺が雨に降られていたら、こんなふうに心配してくれるべきだ。

 そうじゃないなんて信じられない。


「その錬金術師の腕前はどうなんだ?」

「うーん、普通かな。よくポーション買いにいってたよ」

「男か?」

「女だよ」

「そうか」


 優しくしてみるか。

 オスなんか俺以外はみんなブッ殺しても構わないが、女はとっておかないとな。

 優秀な資源だ。




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