どこに行きますか?
一色 サラ
今日から息子?
玄関から夫の
「今日から、ここが君の家だよ」充に話しかけているが、男の子は俯いて、何も反応することはなかった。10月を過ぎて、肌寒い季節なのに、男の子の服装は真夏の半そで半ズボンという寒そうな服装だった。知らない場所に連れて来られて、混乱していることもなるのか。大人しくて、それに生気を感じない。
「どういうこと?」
「今日から、この子を息子として受け入れることにした」この人は本当に何を言っているのだろう。話が全くかみ合っていない。てゆうか、説明する気がない。
「とりあえず、僕とお風呂入ろう。ご飯の用意お願いね~」
そそくさと2人でお風呂に行ってしまった。私のことなど、お構いなしのようで、逆らうことすらできず、1人分多くの料理を作ることにした。
充はいつもそうだ。私に相談など、してくれたことがない。急に転勤した時も相談なんてせずに勝手に決めてしまう。私自身も身勝手な行動に呆れて、反論すらしなくなった気がする。
料理をテーブルの上に料理を並べていると、お風呂から上がってきた充が、着替えるのを手伝ってやってくれと言われ、お風呂場に行くと、
「着替え終わったんだ。じゃあ、ご飯にしようか。おいで」と話しかけるが、反応がない。
男の子の左腕を取りに引っ張ると、強張った感触をした。
「ごめん」
「ごめんなさい」
同時に言った気がする。
「ごめん、痛かった。ご飯一緒に食べよう」
今回は少し、力を抜いて手を引っ張ると、男の子の身体も動き出した。
充が「いっぱい食べてね」と男の子に話しかけても、手を付けようとしなかった。
無理やりは食べさせることはできず、そのまま、座らせることしかできなかった。結局は何もてをつけることはなかった。
「きょうは疲れたし、寝よっか」充は男の子をダイニングキッチンの隣にある居間に連れていった。そこには、すでに布団がひいてあった。私を男の子がいるお風呂場に行っている間に充がひいたのだろう。少し汚らしい引き方だった。
「眠たくなったら、この布団で寝てね」充は男の子がいた居間の襖をしめた。
「少し、1人させてあげよう」
1人にしたら、何か危ないことでも起きそうな気がしたが、充は大丈夫と言わんばかりに、男の子が手をつけなかった料理を食べ始めた。
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