卵の殻

荼八

卵の殻

私は私に殺される。

私が何かの過ちを踏む時は必ず、予感を感じる。こうやって散文を繰り返す時間は一人きりで私の存在は自由である。が、家族、友人、他人、恋人、そうやって人を相手取る時や、仕事、言葉選び、その他のやはり人を介す時には必ず予感を感じる。私は又、失敗をするのだと不安の囁きが聴こえ案の定、その予感は的中するのだ。あの日もあの時もそうだ。然し、過去はもうかえることは出来ない。そんな現実のたった二文字に私は苦難の表情を浮かべ、それを察知したかのように悪魔は微笑み奈落か、地獄の溜池に突き落とすように背中を押す。喘ぎ、悶えるそんな表情を読み取り落ち着きが無いと云うのは止めて欲しい。其れは、十二分に解っている。慣れてくれなんて云わないで欲しい。それもまた、同じなのだから。理解はしているのだが、把握はしているのだが、いざ其の場面に立った時、私は必ず悪魔に唆され孤独の部屋に帰される。自分自身の問題なのだから、自分自身で解決をすべきだと、閉じこもりその間には心の軸や外身の末端までが震え、自信やら経験や果ては自我までもがアクシデントに屈伏して、笑うことしか出来なくなる。こんな私を誰が必要とするのだろうかと、ふと思う。だが、確かに私を必要としてくれている人、他人はいる。其れが唯一の支えとなっている。私は孤独で白痴だが、そんな私を待っていてくれている人が居る。私はそんな人の救いに成りたい。其れが私の救いなのだから。


青白い息を吐き、縄が首にまわる日をまっています。あの紙巻のように、風に吹かれて世の灰になる日を待ち望んでいます。裏返しの現実に私は私を見失い、何もが見えなくなったその日に私はこの身体を白い壺の中に還すのです。そこに居たのだと、人々に言い聞かせる為に。


それでは、おやすみなさい。

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卵の殻 荼八 @toya_jugo

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