異世界転生したらハーレムでしょ
克全
第1話:男ならハーレムでしょ。
「もう、わたしという婚約者がありながら、なんで女の子を拾ってくるの!」
幼馴染でハーレム一号のアヤーナなプンプンと怒っている。
物心ついてすぐに、幼いながらも将来は必ず美少女になると信じられる可愛らしさで、プロポーズした同じ寒村の子だ。
その頃は貧乏の極致だった村の住人だから、ろくに身体も洗えない、食べ物も満足にない、服も幼い頃には作ってもらえないガリガリの子だった。
「いつも僕はハーレムを作るって言っているじゃないか、アヤーナ。
この子は森で魔獣に襲われているのを助けたんだけど、エルフだよエルフ。
もう一度とエルフに会えるか分からないから、ハーレム二号にすると決めたんだ。
いくらアヤーナでも邪魔したら許さないからな。
もし邪魔するようなら、もう栗の甘露煮を作ってやらないぞ!」
俺の言葉を聞いたアヤーナは、真っ青になって困っている。
くっくっくっくっ、女子供は甘味の誘惑には勝てないのだよ。
権力や暴力では抑えられない女の根性も、甘味を味を覚えさせれば簡単に操ることができるのだ。
もう村中の女性は老いも若きも俺の味方だから、男達も逆らえない。
まあ、喧嘩でも殺し合いでも、俺に勝てる男などいないけどね。
「くっ、しかたないわね、その代わり次の栗の甘露煮は二個、いえ、三個よ
栗の甘露煮を三個くれるのなら、二号も認めてあげるわ!」
予想通りアヤーナの簡単に陥落した。
俺とおない歳の七歳だから、食欲に打ち勝つなど不可能なのだ。
俺が蜂蜜や蟻蜜を持って帰って来た時などは、自分の両親にまでハーレム一号の権限を振りかざして、一番先に食べていたからな。
まあ、前世の記憶があり、魔法の才能まであれば、この世界は楽勝だ。
ファンタジー小説を読みあさり、自分でも書いていた俺には、魔力を伸ばす手法などなどいくらでも考えられたのさ。
「あ、しまった、この子のような服もたのめばよかった!」
アヤーナが、今頃綺麗な服が欲しかった事を思いだしたようだ。
まあ、七歳児だから、以前欲しいと思った物をいつまでも覚えていられない。
それ以前に甘味の事で頭が一杯だったのだ。
以前は、森で集めた麻や葛の繊維を粗く重ねただけの屑のような布しか作れず、四角形の布の真ん中に穴を開けただけの貫頭衣が村人の服だった。
だが俺が教えて、麻と葛の繊維を乾燥とほぐしを繰り返し、高品質の糸を作れるようになり、織機を創り出して大陸一番の麻布と葛布を織れるようになっていた。
さらに最近は、糸を染める事や布を染める実験を始めたので、その布で織った服をアヤーナは欲しがっているのだ。
だが、行商人に大金で売れる布を、いくらハーレム一号のアヤーナとはいえ、ほいほいと与える訳にはいかない。
「さて、この子がどこから来たのかだが問題だよな」
アヤーナの事よりも、もっと大切な事があるので、思わず独り言が出てしまったが、それもしかたがない。
エルフの子供が一人でこんな所にいるはずがないのだ。
必ず保護者がいるはずだし、もしかしたらエルフの隠れ郷があるかもしれない。
それがファンタジーの定番なのだから。
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