愛情!魔力!!百合!!!
鈴木G.U.
序
まぶたの内側に直接塗料を流し込まれたような。
強烈で鮮烈で、なるほど、長い時、私は生きていなかったのかもしれないとその時初めて自覚した。確かに、とんと感情が動いた記憶がない。
『—————何が天才よ』
しかして、私の内は息を吹き返すように脈打っていた。
『—————諦めないから。私は』
裏切らないと、そう執拗に念を押されたようなもので。
少なくとも、私にとっては。
敵意とすら取れる闘志の矛先が自分で嬉しかった。執着してくれているということ自体が喜びだった。
大勢の聴衆の歓声と祝福が遠く聴こえる。五感が視線の先以外を置き去りにして、それだけが色鮮やかに輝き、網膜を焦がしていた。
吸い寄せられるかのように歩み寄り、意識のないその人の身体をおそるおそる抱き起こす。
鼻を埋めるように抱きしめると、清廉な柑橘系の香りがした。その体躯は自分よりも一回りは小さく、両腕ですっぽり覆えてしまえるくらいだったが、頭を預けていると安堵をもたらすような頼もしさが同時にあった。
まどろみを覚える温もりを感じながら。
私は、この感情に名前をつけたのだった。
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