智明の日常(先輩、私の事を振りましたね?後悔しますよ♪)番外編2

アキノリ@pokkey11.1

智明と大博の出会い

俺の名前は飯島智明(いいじまともあき)。

高校2年生のピッチピチの16歳の美形。

端的に言うとハンサム、イケメン、成績優秀だ。

纏めると俺はこの世界中で1番のイケメンだぜ?ハッハッハ。


そんな俺、智明には波瀬大博(はぜもとひろ)っちゅー兄弟が居る。

大の親友っつー感じだな。

思いながら俺は日曜日暇なのでウンウンと頷きながら近所の公園に歩く。

そして偶然.....俺は小学生ぐらいの少年と少女が言い争っているのを見掛けた。

女子をいじめている様に見えて慌てて俺は声を掛ける。


「オイオイ。何してんだよ?」


「誰だよアンタ。関係無いだろ」


「.....関係あるっての。何で女子は泣いているんだよ」


「俺が泣かせた訳じゃねーって」


だが膝とか傷だらけ。

多分、嫌がらせだなって思う。

俺は眉を顰めて男の子に告げる。


悪い事をしたら閻魔様に連れて行かれッゾ、と。

舌取られるぞ、と。

男の子はビクッとする。


「そ、そんなの怖くないって」


「.....本当か?膝が真面目にガクガクじゃねーか。ハッハッハ」


「.....クソッ!」


そして少年は逃げて行った。

どうやら本気の俺の脅しを悟った様だ。

俺は溜息混じりでハンカチを使って少女の涙を拭う。


少女は栗毛色の髪の結構な美少女だった。

あ、俺はペドじゃねーぞ?先に言っとくが。

少女は俺に対してグスグス鼻を鳴らしながらお礼を言う。


「.....お兄さん。有難う」


「良いって事よ。序でにこのハンカチ持ってけ。良いから」


「え?でも.....」


「良いから持ってけ。.....な?傷の血とか拭くのに要るだろ?」


俺はニカッと笑顔を見せる。

少女は少しだけ遠慮がちに俺のハンカチを受け取った。

それから涙を袖で拭ってから駆け出して行く。

お兄さん、有難う!と満面の笑顔で、だ。

俺はその姿を見送ってから公園の中央の噴水の石段に腰掛けた。


「一日一善!だな。ガッハッハ」


公園では色々な人達が遊んでいる。

しかしさっきの少年少女は.....何だか大博と俺を連想させた。

何でかって言えば。

大博が俺を救ってくれたから、だ。

懐かしい話だ。


「.....兄弟、元気にしてっかな」


俺はふと、思い出す。

かつての小学校時代を、だ。

自らもいじめを受けていたにも関わらず俺を救ってくれたヒーローを。

波瀬大博っちゅーヒーローを、だ。

そして目を閉じた。



俺と大博が出会ったのは小学校6年の頃だ。

この辺りに丁度、引っ越して来てからのその学校に俺が転校したばっかの頃。

丁度、大博の後ろに席替えで座る事になった時かな。

あの頃だったと思う。


でもその時まで俺は大博は辛気臭い少年と思っていた。

いじめを受ける様な、感じのなよっとした、だ。

それに何時も傷だらけだったのを覚えている。

何でコイツ傷だらけなんだ?、と何時も思っていた。


「おい。波瀬。ちょっと金貸してくれねぇ?」


「.....お金なんて無いよ」


「は?ざけんな。お前は金を出すんだよ」


そんな感じで何時もいじめっ子からいじめを受けていた大博。

俺はその姿を友人と共に何時も見ていた。

そして毎日毎日、そんな感じで連れて行かれていた。

教師に訴えた事もある。

でも教師は全く相手にしなかったのだ。


「波瀬は虐められてないぞ。あれは単なる戯れだ」


ニヤニヤしながら歪んだ笑みで、だ。

俺は.....この教師はクズだと思った瞬間だった。

そして俺はこのクズに訴えるのを止めて。

教室で見ていた。


連れて行かれる大博を毎日、だ。

でもそれを毎日見ている度に.....俺の心の中で揺らいでいったのだ。

こんな事で良いのだろうか、と。

そして俺はある日、立ち上がって大博を連れて行くいじめっ子に声を掛けたのだ。


「オイ」


「.....あ?何だ」


「ソイツ、嫌がっているだろ」


雨の日だったな。

これに対して友人が止めたりしてくれたが。

どうしても許せなかったのだ。

なんていうか善の感情が動いたっていうか。

そして大博の手を握ってやったのだ。


「何だよお前?転校して来た奴だよな?コイツの友人なのか?」


「違うけどな。イラつくんだよお前ら」


「.....は?お前.....何様?」


そしていじめっ子達は直ぐに俺を囲んだ。

それから殴ってきて。

俺は椅子にガシャーンと吹っ飛んだ。

女子達が、先生呼んで!、と叫ぶ中でいじめっ子は俺に対して拳を鳴らした。

それから俺の胸ぐらを掴んできたのだ。


「お前さ、生意気だわ。俺様を誰だと思ってんだ」


「知らないけどな。嫌がっている人を見過ごせんわ」


それからもう一発、いじめっ子に殴られて気を失いそうになった時。

大博が俺の前にいきなり立ったのだ。

そして俺を守る様に、だ。

俺は驚愕した。


「大丈夫?」


「え?ああ.....お前は?」


「僕は大丈夫。有難う」


これに対していじめっ子はキレてから俺達をボコボコにした。

そして先生達が止めに入った頃には俺達は病院に居て。

運ばれた様で天井を見上げている形だった。

俺の横に大博が居る様な病院の病室。

今でも忘れない。


「波瀬。大丈夫か」


「君は」


「.....俺は大丈夫だ。有難うな」


「.....そう。ゴメンね強くなくて」


その際の大博は本当に悔しそうだった。

そして色々.....心の底から有りそうな顔をしたのだ。

強かったら良かったのに、とか言いながら、だ。

俺はその姿を生涯忘れる事はないだろう。


波瀬は心も体も全部が弱いんだ。

その様に認識して守っていかないといけないんだ、と。

認識したのだ。

だから俺は手を差し伸ばした。


「お前の事、これから守るわ」


「.....え?」


「もし良かったら俺と友達にならないか?」


「.....え?.....嫌だ」


そうだな、あの時は確か断ったんだよ。

大博のヤツが、だ。

ええ!?と驚愕したんだ。

だって、と大博は直ぐに説明はしてくれたが。


「お父さんに.....殺されちゃう」


「.....え?.....え?.....なんかよく分からんが複雑なんだな?俺が助けてやるぜ」


「え?.....あ、うん」


目をパチクリしていたっけな。

当時は俺が格が上だった気がする。

でもどうであれ俺は大博から離れる事はしなかった。

何故かって?そうだな。

コイツは見捨てておけないと思ったから。


退院してから弁当を持ち寄ったり、積極に声を掛けたり、組体操で一緒になったり。

そんな事をしていると俺達は打ち解けていった。

大博の家庭の事を知ったのはこの頃だ。

そして俺達は友人になったのだ。

今の今に至るまで、だ。



「っにしても懐かしいな」


何だかずっと思い耽っていた様だ。

時間が10分は経過している。

俺は目を擦りながら立ち上がろうとした、のだが。


目の前に誰か立っている。

俺は?を浮かべて顔を上げる。

そこには大博がポケットに手を突っ込んで立っていた。

少し控えめな笑顔でニコッとしている。


「よお。智明。どうしたんだ?」


「.....おう。兄弟か」


「お前、何だか思い耽っていたな。.....あ、それはそうと通り掛かったしさ。.....キャシーさんの所で飯食わね?」


「.....」


え、キャシーさんの所か。

俺は少しだけ背筋が寒かったが。

コイツが一緒なら断る気はなかった。

俺は満面のニカッとした笑顔で大博の背中に手を回す。

じゃあ行くか!と言いながら、だ。


「所で何を思い耽っていたんだよ?お前らしくもない」


「良いじゃねーかそんな事。ハッハッハ」


大博が俺に疑問を聞いてくる。

公園を後にしながら俺は答えた。

そして俺は歯を見せながらニコニコする。

これから先もどんな事が有ろうともコイツと一緒だ。


兄弟と何時迄も、だ。

コイツに出会えて幸せだ。

思いながら兄弟を見る。

兄弟は訳が分からん、的な顔をしていた。


「それはそうと元気か?兄弟」


「おう元気だぞ。一応に。.....お前は?」


「俺は.....」


これは5月のある日の事だ。

俺は.....改めて友人の大博を見ながら。

空をニヤッとしながら見上げる。

風が有るが今日も晴れ渡っていて満開だな、と思いながら、だ。


fin

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