災厄の魔物は美味しいものを食べたい!!
池中 織奈
プロローグ
土の中からこんにちは。
揺れた。
地が大きな音を立てて揺れた。
その大きな揺れに、衝撃に人々は倒れる。起き上がる事さえもできない。
その大きな揺れに、建物が崩れていく。見るも無残な姿がその場に映る。
そして何かが落ちていく。
その大きな地の揺れは、沢山の被害を与えた。
その地の揺れがあったのは、ルーティン大陸の南東部。
広い範囲にわたり揺れを確かに、その地に住む生物たちは感知した。
人も、魔物も、全てがその揺れの被害を受けた。
その震源地は、周辺諸国の調査によって、マラハ砂漠だと推定された。
揺れが観測されてからひと月ほどたった頃、その場に調査隊が派遣された。
何故、一か月もかかったかといえば単純に震源地のマラハ砂漠が過酷な環境であり、そこまで訪れるための準備に時間がかかったからというそれだけの話である。
「これは……」
さて、マハラ砂漠の揺れの震源地にたどり着いた調査隊は、目の前の光景に目を見張った。
そこには大きな穴があった。地中の中より続く深く、大きな穴。その穴に人が落ちたら出てこれないほどの深さのある穴。
それは、何かが這い出た証に他ならなかった。
「まさか……」
「これは……」
調査隊は、その大きな穴を前に一つの推測をし、顔を青ざめさせた。
その巨大な穴の理由を知っていた。文献で読んだ事があった。
それは、《デスタイラント》と呼ばれる巨大な大ミミズの魔物の出現の徴候だった。
土の中で長い時を過ごす《デスタイラント》は滅多に地上に出てくる事はない。しかし、数えられるだけの小さな事例からすれば、その魔物が地中より這い出てきた時には国が何か国が滅ぶほどの被害が訪れていた。
《デスタイラント》は、人間を一瞬で飲み込めるほどの大きさを持つ。
彼の者は、どんなものでも食する事が出来ると言われており、事実過去の記憶では彼の者が通った後には何も残らなかったとされている。
その穴が、《デスタイラント》かもしれないという結論に至った調査隊は慌てた様子で踵を帰していくのであった。
その後ろで、のそりと動く何者かには気づかないままに。
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