第47話
結局、舞が先に入浴することに。
妹が上がってくるのを待った末に入浴を済ませた僕が「ふわぁ」とあくびをして布団に潜り込んだ次の瞬間、
『リュウくん?』『《
チッ。
内心で舌打ちする僕。
舞との険悪な雰囲気が挟まったことで、なんとなくこのまま寝れるんじゃないかと期待していたんだけど、やっぱり問屋がおろさないらしい。
いや、もちろん約束を忘れていたわけじゃないよ?
今日は何かと《魔眼》に頼りっぱなしだったからね。特にシルの功績は目を見張るものがある。
持ちつ持たれず。ギブアンドテイク。
うん、それはわかる。
ただ本音を言えば今晩は避けて欲しいわけで。
心身ともに疲弊していることは事実だし(こういうときに治癒魔法を行使できると便利だよね)、何より絶世の美女二人を具現化するということは睡眠を阻害される恐れがあるわけだ。
そりゃしれっと眠りに着こうとするよね。
『魔女との約束を反故するなんていい度胸じゃない』
『シルは失望と絶望を禁じ得ません』
いや、あの……。
『リュウくん……!』『主人!』
あかん。もう逃げられへん。
僕はさらなる体力の消耗を覚悟して二人を具現化することを決意した。
とはいえ、僕以外の異世界帰還者と遭遇したばかり。
残された魔力を全消費というのは、あまりに無謀だ。
だからこそ魔女本来の姿・能力を制限することで魔力消費量の節約を試みる。
一人五割ほど消費する魔力を二、三割近くまで抑えた結果――、
僕は目先の利益に飛び付く愚かさを身をもって知ることになる。
『ふふっ、久しぶりね……って、ちょっ、えっ⁉︎』
『なっ、ななな……!』
膨大な魔力と引き換えに具現化すると齢二千歳以上とは思えない――というより誰がどう見ても中学生まで幼くなった魔女二人。
二人とも元の姿がグラビアアイドル並のプロポーションだけに服のサイズが合わずズルズルとずれ落ちている。
リゼは漆黒のドレス(露出多め)が完全にズレ落ちて下着姿に。
それも薔薇が刺繍された黒の下着でさえサイズが大きいのか、必死に手で押さえて隠す始末。
しかも見た目は中学生ぐらいにまで若返っているからね? あまりの背徳感に意識が飛びそうだよ! 犯罪の匂いがぷんぷんする!
もちろんシルも白い着物が合わずに隙間から雪のような肌がチラチラ。純真無垢の下着が肌と同化したせいで、一瞬全裸なのかと錯覚したぐらいだ。
こちらも目を潤ませながら中学生の姿で僕のことを睨んでくるものだから、なんというか居心地が悪すぎる!
『まっ、《
違いますけど⁉︎ 断じて違いますけど! 僕はただ魔力を節約しようと思って……!
『……変態』
下着を手で押さえながらキッと睨みつけてくるリゼ。
いやいやいや! 元の姿で具現化したときは、なんなら下着を脱いで僕に迫ってくることもあったじゃないか!
それがなんで幼い姿で具現化なら『くっ、殺せ……!』みたいになるのさ!
むしろ僕の方が理解に苦しむよ!
『リュウくんはロリコンだったのね』『《
このあと僕は魔女二人の反撃により《無限地獄》より恐ろしい目に遭うことになる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます