第25話  エゴ・ドキュメントの解釈 長谷川貴彦

エゴ・ドキュメントの歴史学 長谷川貴彦 北大大学院文学研究院 教授

1963生 近現代イギリス史 「グローバル時代の歴史学」 「現代歴史学への展望」


エゴ・ドキュメントロシア語の歴史実践                   

著書 松井 康浩「まつい ゆすしろ」 1960年生 九州大学 大学院比較社会文化 研究院 教授 ソ連政治社会史 


個人由来の文書

歴史家の間では、「個人由来の文書」でありすなわち手紙・日記・回想録と言った個人が書き残した文書を総称する言葉である。

エゴ・ドキュメントは1950年代にロシア国内で存在していた。

新しく歴史研究を切り開く史科との義務付けが遅くとも1970年代には見られた。

エゴ・ドキュメントに着目し、それに付与する歴史研究上の意義が、相当程度前からソ連時代に現れていた事は興味深い現象に思われる。


公的な世界が日常生活の領域にも覆いかぶさったはずのソビエット体制下で、なぜエゴ・ドキュメントが大量に書かれ、残されたたのかに改めて注目すると、党=国家の側の働きかけが大きな契機となっていた。

社会主義体制の主体を継続的に作り出す狙いから、ソビエット体制は、体制の起源といえる十月革命や内戦の参加者、ソ連を工業大国に変貌させた1920年代末以降の社会主義建設に積極的にかかわった人々に、主体的参加の記録としてエゴ・ドキュメントを書き残すよう呼びかけ、働きかけ、収集し、広範囲な人々の動員にそれらを用いた。

1970年以降のソ連社会に、「自分史」現象とでも呼ぶべき歴史実践が広がった様に思える。

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エゴ・ドキュメント  天英文庫 サハリンマン @tenei

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