第3話
私を含めてお母さん、結衣おばさん、愛衣ちゃんの四人で何故か私の部屋に来て話し合いを始めていた。
「ねえ結希ちゃん、尚輝くんとは最近どうなの?」
「へっ?!あ、いや……特には」
最近名前を聞くだけでもドキドキしてしまう、今もバクバクと心拍数が上がっている。
お母さんと結衣おばさんは二人で顔を見合わせて、深く溜め息を付いて私の顔を見ていた。
「そんなんじゃ簡単に盗られるわよ?」
「分かってる!けど……」
「え?結希姉なお兄にまだ告白してないんだ?」
何なのこの人達は!人が真剣に悩んでるのに!
特に愛衣ちゃん!軽く人の心抉ってくるの辞めて?!
「……遺伝なのかしらこれって」
「こと姉は逆にグイグイ来てたけどなぁ……」
「じゃあ拓人?でも付き合う時とかプロポーズは全部向こうだったから……うーん良く分からないわね」
お母さんですらお手上げ状態な私、泣きたい。
どうすればなおくんに振り向いて貰えるのか、私なりにこの休みの間ずっと考えてたけど、結局本人を前にすると全部真っ白になってあたふたし始めてしまう。
好きってたった一言言うだけなのになぁ……
「結希、あなた最近ちゃんと尚輝くんと話してる?」
「ううん……話せてないと思う」
「こと姉、これってかなり重症じゃない?」
うっ……返す言葉もございません……。
きっかけさえあれば前みたいに話せるようになるんだろうけど、そのきっかけが一体何なのか分からない。
「なんて考えてるんでしょ?きっかけなんていくらでも出来るわよ?」
「勝手に読まないでお母さん!」
「結希姉も私みたいにたつ兄みたいなことすれば良いのに」
それが出来てたら今こうして悩んでないってば!
「あんたたちもういい歳でしょ……特に結衣ちゃん、あんた母親なんだからそんなみっともない姿見せてどうするの?」
「そういうこと姉だって、子供達が居ない中イチャイチャしてるんでしょ?」
お母さん、視線逸らしてもバレバレですよ?
「前々から気になってたけど、結希姉ってどうして急に意識するようになったの?」
「……あれ、そういやどうしてなんだろ」
「そこ気付いてなかったのね……」
中学入り立ての頃は全く問題なかったのに、気付いた時にはもう今みたいにこうなってた。
お母さんみたいに身体の成長が始まってからなのか分からないけど、なおくんもなおくんでなかなか話し掛けてこなくなったっけか。ちょっと寂しい。
「まあ急いだって意味ないし、ゆっくり距離詰めていけば良いわよ」
「そうそう、なんだってこと姉とお兄ちゃんの間の子だからね!結希ちゃん頑張って?私達そろそろ帰るね」
「結希姉ファイト!私も明日から中学だし、頑張るから!」
そのまま嵐のように去っていった。
隣にはお母さんと、猫の五月雨とその子供の白雪。
「結希、ちょっと焦ってる?」
「えっ?」
「二人とも二年でしょ?だからちょっと焦ってるのかなってお母さん思っただけ」
私って、焦ってるのかな……
そりゃなおくんのことは好きだけど、だからって今すぐに付き合いたいって訳じゃないし……
小学生の時みたいにまた仲良くしたいって思ってるけど、なおくんに避けられてる気がするし……
「お母さん……私どうしたら良いのかな……」
気付けば目には涙が溜まっていて、今にも泣きたくなっていた。避けられてるってことは実は嫌われてるんじゃ……?
「大丈夫よ、安心なさい……あなたはお母さんの子だから」
私はお母さんに泣きながら抱き付いて、今まで溜まってた愚痴を溢しながら今後の事を話し合った。
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