カメレオン

usagi

第1話 カメレオン

「あれ、コンタクトにしたんだ。いいじゃん。」


「いやしてないけど。」


「だって、眼鏡してないじゃん。」


「いやしてるよ、ほら。」


友人は眼鏡をとって渡してきた。

「カメレオン眼鏡さ。」


透明なメガネは二層になっていて、外側の層には、シアン、イエロー、マゼンタという色の3原色と言われる液体が分離して収まっていた。現実の背景に合わせて、3原色が自動的に混ざり合い、背景の色と同化するという機能があるんだということだった。確か、世の中のすべての色は「3原色の掛け合わせ」で再現できると聞いたことがあった。


自分の顔の色と眼鏡の色が同化するため、よく見ないと眼鏡をしていることが気づかない、というわけなのか。なるほど、実にすばらしい発明だ。確かに今の技術であればできないことはない、グッドアイディアだ。


さすが、僕の親友は天才だと感心した。


「本当だ。よく見ると眼鏡あるな、確かに、、、。まあ、お前の場合、眼鏡はずしたところでイケメンに変貌するようなこともないけどな(笑)。」


「うるせぇよ!」


「ちなみに、、、これと同じ機能を持った『カメレオンTシャツ』も用意してんだ。」


「、、、。」

「もしかして、だけどさ。」

「Tシャツって女子用のやつなんじゃないか?」


「さすがだな、お前。気づいたか。やっぱり天才だな、、、。」


「いや考えついて実現させたお前の方が天才だわ。」


間違っていたら恥ずかしかったので、念のため確認することにした。


「つまり、あれだろ。『すごいTシャツできた』なんて言って、女の子にプレゼントするんだろ。『ほら、君の好きな風景や、動物や色とか、プログラミングすれば一瞬でデザイン変えられるんだよ』、とか言って。お前のことだから絶対にカメレオン眼鏡は後付けで、Tシャツの方を先に考えてたんだろうな(笑)。」


「お前、本当にスゲーな。サイコメトラーかよ!!」


「もういくつか女子が気に入りそうなTシャツ用の背景のプログラム、用意してんだよね。スマホで専用アプリを起動させて、気に入ったデザインを選ぶと、瞬間的にTシャツのデザインが変わるっていうシステム。」


「うん。いいね、それ。で、話をしている時に、こちら側の操作でカメレオンモードにしちゃう、、、!?」


「まさにその通り!」


「しかし一つ問題があるんだよな。」


「ああ、実は僕もさっきから気づいてた。」


僕らは同時につぶやいた。


「それだと下着姿しか見えないんだよな、、、。」

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カメレオン usagi @unop7035

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