第82話 巨人族の城と魔法画

巨人族の王宮 

先祖とされる 巨大な巨人の骨で出来た城 

奇怪な城 骨をくり抜いて作られたもの


間者の仕事を終えたアムネジアは巨人族の城に戻ってきた


巨人族の王は 一応はエリンシアを夫アーサーに返したものの

まだ未練があり


エリンシアが 月に一度 10日程 王宮に滞在するようさせた


完全には エリンシア姫を解放出来ず・・アムネジアは悔しく思う


そんな日々の中

エリンシア姫がまだ来てない時の王宮に 一枚の大きな魔法画が持ち込まれた


昔の黒の国を侵略した際 巨人族の貴族の一人が 戦に参加していて

黒の王宮から盗み出したもの・・


それを 莫大な相続税の代わりに王に献上した


黒の国の老齢の竜人の画家が描いた魔法画


以前 黒の国を裏切ったヴァン伯爵が献上した魔法画と同じ物であった

竜人の老人の画家の作品 三枚あって 

そのうちの二枚は こうして巨人族の王が手にいれた


その大きな絵 ヴァン伯爵の献上したものは 4枚の羽を持つ オッドアイの白鳥

そのイメージのモデルは エリンシア姫・・


魔法画の中の白鳥は幻影ながら 生きていて 手で絵に触れると 絵の中から飛び出す

美しい声で鳴き・・エリンシア姫の羽琴の演奏に合わせて歌うように良く鳴いた


王宮にいる時には 

時折 エリンシア姫とアムネジアは この幻影の白い白鳥と遊んだ


そして・・今回 献上された絵には 赤い子竜が描かれていた


手で触れると ぴよんと飛び出して来た赤い子竜


手を触れてないのに 白い白鳥も魔法画から飛び出す


嬉しそうに 二匹はクルクルと宙に浮かんで 廻る


「!そう・・お友達だったのね・・」


今度は赤い子竜がアムネジアの顔に顔を近ずけ そっと頬にキス


「あら!」驚くアムネジア


それから アムネジアは手を差し伸べる・・

そっと赤い子竜は腕に留まる


アムネジアの瞳が突然 金色に輝く 

無意識に過去見の力が発動する・・


魔法画を描いている竜人の老人・・描いているのは赤い子竜・・

まだ描き終えていないというのに 絵の中から飛び出して 空を飛ぼうとする

「これこれ・・大人しくしなさい・・もう少しで仕上がるから・・

お前のモデルの黒の王子アーシュラン様は大人びて・・

・・・そうか・・本来のアーシュラン様は このような御方なのだな・・」

ふむふむと・・納得する竜人の老人の画家・・


この絵・・赤い子竜はアーシュラン兄様がモデル

アーシュランお兄様の本質を絵に描いたもの・・


不思議な思いで・・赤い子竜を抱きしめるアムネジア


赤い子竜は抱きしめられて嬉しそう

アムネジア・・テインタル王女の胸に顔を埋め

その小さい手で アムネジアの胸を子猫のように もみもみする


「あら?甘えてるのかしら それとも・・?」

怪訝な顔のアムネジア


しっかり小さい手で胸をもみもみしながら

顔を胸の間にグリグリと押し付ける赤い子竜

柔らかなふくらみ 胸の感触に浸っている


アーシュ兄様の本質

奥手と思っていたけど・・案外・・H(エッチ)・・かな?

首を少しひねる


やっぱり 男よね・・アーシュ兄様・・。


ジト目の・・

半目になるアムネジア 顔にちょっと冷汗


ジト目で半開きの目のしぐさは アーシュと同じ仕草

さすがは血の繋がった同じ兄妹である


赤い子竜は相変わらず アムネジアの胸の間で安らいでいる 

うっとり幸せそうであった

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る