第78話 アーサーとアムネジア(テイ)と・・

「・・アーサー」若い娘の声


人目を避け そっとアーサーに耳打ちする兜をかぶった兵士


小声でアーサーは「アムネジア様ですか?」 頷く兵士


二人は 歓喜する一団から少し離れた人のいない場所に移動する

「ふう・・」兜を脱ぐアムネジアことテインタル王女 


長い黒髪がはらりと風に広がりしなやかに舞う


「ランデイは急な要件が出来て迎えにはこれなかったけど 私は来たわ」

「お帰りなさい

アーサー これでエリンシア姫も・・」と言いかけて 

二人は 視線を感じて振り返る


物陰からアーシュが現れた


「アーシュ兄様!」顔色を変えるアムネジア


「やはり 来てたな

はじめまして・・でいいかな

王の従弟で 羽琴の姫君 白のエリンシア姫の夫アーサー殿?


また会えたな 我が妹姫 

テインタル王女・・」軽く睨みつける燃えるような焔色の瞳


声は冷たく響く・・表情も冷たい


「本来なら 白のエリンシア姫は返して欲しいところだが 子供も産み

王の側室なら 帰る事も出来ないだろうな


愛する夫もいる事だし

王から解放されて また夫と子供と一緒に暮らすのだろうな」

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