第6話すれ違う運命の一対

三人が ある二人の人物とすれ違う


二人の人物 女性の方は素晴らしい美貌と身体で 

簡素な服に黒髪を一つにまとめ

髪をまとめる布を巻き 耳を隠している


何かを二人で 歩きながら 話していた


手にはリュートを持っていた

男の方は赤毛だった 彼女の恋人なのだろうか? 

ぴったりと寄り添い歩いていた



女性とアーシュがすれ違った途端


女性とアーシュの二人は何か 

響くような 痺れるような感覚を同時に覚えた



そのまま すれ違う


アーシュは 振り返る


女性は一度立ち止まり アーシュを見てたが 

すぐに振り返り 後ろ姿をみせながら立ち去る


奇妙な感覚

「リュートを持った さっきの女性 すごく素晴らしい美貌だったね

そういえば さっき黒の王宮で 歌っていた二人かも


男の人の赤毛が印象的だったから」エイル

「・・・」アーシュ


「え そうなんですか?私は気が付かなくて・・」ナーリン


「・・・・」アーシュはただ黙ってるが やがて口を開く

「行こう エイル ナーリン」いつもの明るい表情


あの顔・・俺は知っている・・失われた記憶か?


あの瞳 燃えるように変化する紅い瞳は

俺と同じ力を示すもの

何故?


「アーシュ?」エイルが声をかける

「なんでもない・・」


そうだな やはり 俺の見間違えか・・きっと考えすぎだ

そして 明るかった子供のようなアーシュの表情


このアーシュ表情に 

再び暗い影のような表情をするようになるとは まだ誰も知らない


リュートを持った女性・・

それはアーシュの異母兄妹テインタル王女ことアムネジア


確かに 彼女は 

同じ火竜王(サラマンデイア)の不思議な焔の瞳を持っていた


先程の・・アーシュとすれ違い見た時

アムネジアことテインタルは思った


アーシュラン アーシュ兄様

貴方は私と同じ者


この世に 二人しかいない 一対


子供の姿になり 何も覚えてない 貴方

本来なら 結ばれる運命にあった私たち


「アムネジア様?」連れの赤毛の男ランデイは言う


「ランデイ さっきの三人を見た?

黒の王アーシュランとエイル・エルトニア姫 もう一人は知らないけど」


「えっ? あれが 黒の王 火竜王(サラマンデイア)!

と白の国のエルトニア姫!

しかし黒の王宮で見たエルトニア姫の先程の姿とは」

「エルトニア姫の方は少々 変装してたけどね」


「子供の姿になったとは 間者の報告で聞いてましたが・・まさか」


「間違いないわ 記憶にある 

子供の頃の幼かったアーシュ兄様そっくり


今の姿は白の国に

向かう為 別れた当初より 少々 大きいけど」

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