デス・ヘッド ~Rise of Darkness~

@SuperSoldier

Rise of 0 デス・ヘッド《髑髏の王》と呼ばれた少年

「ねえ、おばあちゃんッ!今夜もあのお話を聞かせてッ!」


暖炉の前で椅子にゆったりと腰かける祖母―ヘレナに、幼い少年がせがむ様に抱き着いてくる。


「またあのお話が聞きたいのかい?エゴンは…本当に好きね……」


ヘレナの幼い孫、エゴンは彼女の話してくれる物語がお気に入りだった。

もう、何十回、何百回と繰り返し聞かせてきたが一向に飽きる気配が無い。

やはり、男の子はいつの世も《英雄》に憧れるものなのだろう。


(英雄……)


そう、英雄だ。

だが……彼は本当にそうだったのだろうか……?


ヘレナは今でも鮮明に覚えている。

崩壊しかけた吸血鬼ヴァンパイアの帝国に、彗星の如く現れた少年。

彼の率いた機械仕掛けの軍団と、彼が行く先々で築いた屍の山。

あの狂気と狂喜に満ち溢れた笑みを思い出すだけで、年老いた心臓が怯えたように早鐘を打った。


「おばあちゃん、どうしたの?」


エゴンが心配そうに自分を見上げている。

青い瞳の瞳孔は獣のように縦長で、うっすらと開かれたあどけない唇の奥には発達した犬歯が垣間見える。


(そう……彼は……)


我ら《クドラクの民》、人間が吸血鬼ヴァンパイアと蔑んだ種族の英雄。

滅びの運命にあったクドラクの民を救済した紛れもない英雄の……筈なのだ……。



これはかつて、デス・ヘッド《骸骨の王》と呼ばれた少年―レイヴァン・アドラーの狂気に満ちた物語。


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