雪の嵐
野間戸 真夏
第1話 ある雪の降る夜に
やっぱり夜は寂しいよ。
おじぃにおばぁちゃん、それにおとーちゃんもおかぁちゃんも、まだガキんちょのしゅーくんだって、お家に籠ったっきり出てこないんだもの。
今日は雪が降ってて寒いんだ。いつもならお家にあげてもらえるのに、こんな日に限ってお客さまが泊まりに来ているのだそうで、ボクには外で我慢しててって言うんだ。
なんでもその人、ボクが苦手なんだって。イヤイヤ言ってもおばぁちゃんが困るだけだから、仕方ないけど頷いたのさ。
偉いねぇってピンク色のもふもふを着せてくれたから、ちょっとは寒さもマシになっている。ボクはみんなと違って毛むくじゃらだけど、それでも寒いものは寒いんだい。
ボクのお家はみんなのよりも大分ちっちゃくて、たまに隠れんぼしてるしゅーくんが入ったりするけど、他の人は入れないみたいなんだ。ボクにとってはスッポリ納まってちょうどいいんだけどね。それに入口の上には「ポチ」って名前が彫られてるんだ。これもまたお気に入りさ。
そんな円い入口から顔を覗かせて空を見上げたら、真っ白の粒々が限りなく降り注いでいてとってもキレイだ。
うっとりしてると、雪が目に落ちてきて思わず瞬き、けれど痛みはなかった。瞼を開いても、視界はまだうるうるとボヤけてはっきりしない。それに起きていたって、お家から洩れてるガヤガヤが胸の辺りを虚しくさせるだけなんだ。
もうそろそろ眠ることにした。また朝になればみんなと会えるんだ。その頃には雪だって止んでいるはずさ。
目を瞑った途端に、味わったことのない強烈な眠気が襲い掛かってきて、たちまちボクの意識を何処かへ連れていってしまった。
それが何処であったのかは、結局ボクにもまだ分かっていない。
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