第18話



 朝陽が眩しい。地下10階から帰還して3日が経っていた。


 あの時は気がつくと謁見の間で王と向き合っていた。疲労は感じたが身体の痛みは感じなかった。瞬時に『快癒(マディ)』を受けた時のようだった。


 それでも『ハマン(変異)』を同日に二度唱えた代償は大きく、ここ3日、まともに体を起こすことはできずにいた。


ナルはベッドに横たわるエリスにホットチョコレートを運んでくれた。


「生きて帰れてよかったわ」


 ナルはそう言った。


 もう少し寝ていなさいと言われたけれども、まだやることがある。確認したいことが。リリスはどこに行ったのか。


 あの子の声が聴こえない。

   


 そう言った時、ナルは『そう言うことなのよ』と言った。きっと、そうなのだろう。


 でも。頭で考えるとかそう言ったことも超えて気づかなければ、感じなければいけないことがある。


 エリスは起き上がった。


 リリス、どこにいるの。




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