8月5日

 翌日、朝食バイキングを済ませて、私は古町駅に向かった。こっちの方が本数が断然多くて、郊外線にも松山市内線にも乗れるから便利だ。


 しばらく歩くと、多くの電車がたむろしているのが見えた。古町駅だ。この駅は伊予鉄道が開業当時からある駅の1つで、なんと四国最初の鉄道駅の1つだという。ここと松山市と三津駅がそうらしい。


 私はここに併設されているセブンイレブンで郊外線と松山市内線が乗り放題の1日乗車券を購入した。


 私はホームに来ると、車両基地を見渡した。郊外線や松山市内線の電車がずらりと並んでいた。郊外線の電車のほとんどは元京王の車両で、その中に少しだけオリジナル車両があった。


 その中には、坊っちゃん列車もあった。残念ながら土日祝日しか走らないとのこと。乗ってみたかったな。


 実は郊外線の前線をビデオカメラに収めようと思っていた。そして、ユーチューブのチャンネルを作って、それを公開しようと考えていた。それ以前にも、マイントピア別子の様子をビデオカメラに収めていた。


 私はまず横河原方面に向かった。次は大手町だ。また私は興奮した。今度は平面交差を郊外線から見るからだ。


 大手町駅に着く直前、平面交差を渡った。渡る時のこの独特の音がたまらない。私はまた聞き入ってしまった。


 松山市駅、通称市駅は郡中線との分岐駅だ。古町駅のある高浜線とここから横河原までの横河原線は一体となった運行になっていた。


 私はここからビデオカメラを回した。前の車窓を楽しみつつ。


 次の駅は石手川公園だ。この駅の松山寄りにある鉄橋は、移設されていない現役鉄道橋としては最古らしい。『坊っちゃん』に登場するといい、四国最初の3駅といい、これも伊予鉄道の歴史を象徴していると思った。


 約30分後、私は横河原に着いた。しかし、そこでとんでもないことが発覚する。ビデオカメラの空き容量がなかった。更に、バッテリーが切れそうだという。そこで、急遽変更して、市内線をめぐることにした。その間に撮ったビデオのデータをSDカードに移そうと考えた。


 私は松山市駅に戻り、松山市内線に乗った。まずは環状線に乗ってみよう。この松山市内線は専用軌道の部分もある。昨日の夜にちょっとだけ乗った時もそうだった。


 宮田町を過ぎると、専用軌道区間に入る。どこか江ノ島電鉄のようだ。乗っていて楽しい。


 上一万で道後温泉方面に乗り換え。地下道で反対側のホームに行く。しばらく待っていると、道後温泉行きの電車がやってきた。


 終点の道後温泉に着いた。温泉に浸かるからではなく、駅を撮るためだ。ここの駅舎も印象的で、観光案内にもよく載っている。私はしばらくおしゃれな駅舎に見とれていた。


 辺りを見渡すと、坊っちゃん列車があった。果たしてこれは動くんだろうか。もし動くんだったら、乗ってみたかったな。


 次に私は大街道停留所に向かった。ここが松山城の最寄りだからだ。そしてこの駅の近くのマクドナルドでビデオカメラを充電しよう。


 電車は大街道に着いた。私は松山城に向かって歩き出した。その途中には土産物屋がたくさんあった。その中には、みかんジュースの出る蛇口もあった。あるとうわさで聞いたが、本当にあった!しかし、コロナの影響で使えなくなっていた。残念。


 松山城へはロープウェイかゴンドラで行く。私はゴンドラを選択した。ロープウェイに乗る前、どこから来たか聞かれ、体温を測ることになった。ここでもコロナの影響が出ていた。


 私はゴンドラに乗った。最初は怖かったが、走っているうちにいい気分になった。風が気持ちいい。全く怖くなくなった。


 私は松山城の入り口にやってきた。私はお城を巡るのが好きで、『お城マニア』と自称しているぐらいだ。お城は街の発展の象徴であり、その中には戦に生きた男の生きざまが秘められていると感じている。そして城は、男のロマンであり、強さの象徴だと思っている。


 私は松山城の中に入った。中は半分博物館のようになっている。これはほかのお城にもよくある。階段は当時の造りと思われる。階段は急で、まるで私の生まれた家の2階へ通じる階段のようだった。


 登って登って、私は屋上に着いた。私は屋上から松山の景色を見た。お城の魅力は屋上にもあると思う。屋上から見た街の景色は素晴らしい。私は思わず写真を撮ってしまった。


 松山城をめぐり終えて、私は大街道に戻ってきた。大街道の停留所の近くにマクドナルドがある。あそこはコンセントがある。そこでカメラを充電しよう。


 私はマクドナルドに入った。すると、期間限定品があるという。期間限定もしくは限定品に弱い私。迷わずそれのバリューセットをオーダーした。


 充電を終えた私は、松山市駅に戻ってきた。今度は郡中線を撮ってみよう。郡中線は改札から一番遠いホームから発着していた。


 数十分で、私は終点の郡中港に着いた。私は駅に降り立った。その時、私は驚いた。道路の向こうにJRの伊予市駅が見えたからだ。これは知らなかった。


 松山市駅に戻ろうとしたその時、バッテリーが少なくなっていることに気づいた。そこで、スターバックスでお茶をしながら充電しようと思った。


 私は松山市駅に戻ってきた。スターバックスはこの近くの伊予鉄道本社の1階にあるらしい。私はスターバックスに向かった。


 数分歩いて、私はスターバックスに着いた。アイスコーヒーとシフォンケーキを注文して、アダプタの付いたカウンター席へ。ビデオカメラを充電。


 と、奥に何かがあるのに気づいた。坊っちゃん列車だ。ここにもあるのか。いったいいくつあるんだろう。そのほかにも、昔の伊予鉄道の写真、現役時代の坊っちゃん列車の写真が展示されていた。このスターバックスはちょっとした博物館のようだ。


 私は充電を済ませ、再び松山市駅に着いた。今度は高浜に向かうことにした。ここから三津が四国で最も古い鉄道区間だ。この区間は夏目漱石の小説『坊っちゃん』にも登場する。私はとてもわくわくした。


 この区間のほとんどは複線だ。最後の梅津寺と高浜までの区間が単線になっている。


 途中の三津駅に着いた。ここの駅舎はとても美しく、伊予鉄道を代表する駅舎の1つだ。降り立ってみたいが、ここは撮影に集中するために、我慢我慢。


 終点の1つ手前の梅津寺に近づくと、海が見えてきた。この駅のすぐ近くに海水浴場がある。またこの駅は、『東京ラブストーリー』のロケに使われたそうで、訪れる人が多いとか。


 ここからは単線になり、終点の高浜に着く。ここでは船が連絡していたが、ここは船に乗らず松山市に戻った。


 しかし、うまくビデオが撮れなかったのでもう1往復。終える頃には日が暮れていた。


 私は三津駅に向かった。もう辺りは暗くなっていた。三津駅は四国でもっとも古い駅の1つで、開業時は終点だった。


 私は三津駅に降り立った。三津駅はとても瀟洒な駅舎で、インターネットで見たことがあった。駅前広場へのバス乗り入れなどの理由で解体されたものの、前の駅舎の木材を一部利用するなどして、前の駅舎のイメージを残していた。


 私はしばらく駅舎の外やなかに見とれていた。入口の上の装飾が素晴らしい。中は所々にステンドグラスがあって、まるで協会のようだ。


 古町に戻って松山市内線に乗り換え。大街道で見かけた鯛めしが食べたくて大街道へ。今思ったんだが、大街道が松山市の一番の繁華街なんだな。


 ここの鯛めしはちょっと変わっている。鯛を丸ごと1尾乗せるんじゃなくて、細かく切って卵かけご飯のように食べる。なんだか今までの鯛めしのイメージと違うな。


 明日は香川に戻って琴電を乗りつぶして金毘羅山に登る。そして岸井うどんのうどんを食べる。

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