8月4日
次の日、今日は松山に移動する日。朝早くにホテルをチェックアウトして、高松に向かった。今日と明日は愛媛県を観光して、6日に再び香川を旅する。
私は高松に着いて、そこから特急いしづちに乗った。今日の目的地は新居浜のマイントピア別子。閉山になった別子銅山を再活用したテーマパークだ。1690年に発見され、1973年に閉山した。4大財閥だった住友が経営していて、住友を発展させる礎になったという。
別子銅山のことも鉄道廃線跡を歩くで見たことがある。上部鉄道と下部鉄道があって、上部鉄道は明治に作ったとは思えないほど高い所を走っていたが、明治時代の末に廃止されたという。まさに、幻の山岳鉄道だと思っている。
そして、マイントピア別子といえば、東洋のマチュピチュ、東平(とうなる)だ。一度行ってみたいなと思っていた。
9時ごろ、私は新居浜駅に着いた。ここからマイントピア別子へはバスで行く。バスが来るまでは少し時間がある。そこで私は、ある列車を撮ることにした。
しばらくホームで待っていると、その列車がやってきた。アンパンマン列車だ。6年前に高知を旅行した時とは違うアンパンマン列車だ。アンパンマン列車は運行区間によって何が使われるか決まっているらしい。私は写真を撮った。ビデオも撮った。あさっての朝はこれで高松に向かおうか。
改札を出た私はセブンイレブンで飲み物を購入。すると、面白い商品を発見。旬のちゅうちゅうゼリーだ。飲むみかんゼリーといった感じで、いくつかのブランドがあったが、私はせとかを注文した。
せとかは柑橘の大トロといわれているミカンで、とても甘いとのこと。私的には、どっちの料理ショーでまだ市場に出回ってない新品種として紹介していたのを覚えている。濃い、ものすごくみずみずしい、果物では出せない甘さとか言ってたな。
私は9時35分のバスでマイントピア別子に向かった。しばらく市街地を走っていたが、次第に峡谷沿いを走るようになり、民家も少なくなってきた。
数十分後、マイントピア別子に着いた。来ている人はそんなに多くない。山奥にあるからだろうか。はたまたコロナの影響だろうか。
私は来てすぐに東平へのバスを買おうとした。東平までの道のりは険しく、急カーブの続く山道を通る。そこで、ガイド付きの観光バスで行くことにした。しかし、5人以上集まらないと行けないという。うーん、大丈夫かな?
バスまで時間があるので土産物屋でいろいろ買っておこう。ここの土産物屋にはマイントピア別子関連だけでなく、今治市関連のものもあった。タオルほしい。バリィさんグッズほしい。
10分ぐらい前になって、東平に向かう人が5人以上集まったと知らされた。やった!東平に行ける!私は観光バスに乗った。観光バスはマイクロバスだった。この先は急カーブの多い山道だからかな?
11時、バスは東平に向かって走り出した。走り出してしばらくは整備された1車線の道路を走っていた。川沿いを走り、眺めがいい。所々にトンネルあり、途中にループ橋あり。そして、ダムが間近で見えるのには興奮した。ここまでは快調に走っていた。
しかし、10分ぐらい走った辺りで、左折して、山道に入った。バスのスピードは一気に落ちた。離合ができないし、舗装があまりよくされてなさそうだ。やがて道はつづら折りが続く区間に入った。どこまで登るんだろう。どれぐらいつづら折りがあるんだろう。東平まであとぐれぐらいだろう。
山道が下り坂になった。時間を見ると、そろそろ東平だ。私はわくわくしてきた。東洋のマチュピチュと呼ばれる東平を、もうすぐ生で見られる。どんな景色だろう。どんなとこなんだろう。
マイントピア別子を出て約30分、バスは東洋のマチュピチュ、東平に着いた。降り立った場所は駐車場だ。駐車場には何台か車が停まっていた。行きにくいから行こうとしないのか。ここでもコロナの影響が出てるのか。
私はガイドの話に耳を傾けつつ、案内板を見ていた。すると、山の向こうに上部鉄道が走っていたという案内板があった。採れた石を索道で東平まで運んでいたという。こんなとこに索道があったなんて。このことは鉄道廃線跡を歩くで見た覚えがない。こんなところに索道があったのか。私はただただ驚いていた。
貯鉱庫跡などの跡を見て回って、最後に行ったのは歴史資料館だ。この中には東平が賑やかだった頃の写真やジオラマが展示されていた。ここでもガイドの話に耳を傾ける。こんな山奥にこんな町があったとは。娯楽場もあったことが信じられない。写真を見ていると、盛者必衰を感じた。あんなに栄えていた町が、鉱山の衰退によって誰もいなくなり、朽ち果てていく。
一通り回って、私はマイントピア別子に戻ってきた。時計を見ると、午後1時。少し遅くなったけど、昼ごはんにしよう。お昼は建物を見て回った時に見つけた『もりの風』に決めた。
私は『名水蒸し豆富御膳』を注文した。蒸し豆腐をしばらく蒸して、伯方の塩やネギなどの薬味を添えて食べるという。今気づいたんだが、伯方の塩の伯方って、愛媛県にあるんだな。初めて知った。あれだけ見たことあるのに。
午後からは観光坑道を見て回ろう。私はトロッコに乗った。乗客はあまりいなかった。トロッコは低くて小さい。炭鉱の列車って、こんなに狭かったんだな。
トロッコは走り出してすぐ、小さなトンネルに入った。トンネルはレンガ積みで、所々に補強が施されている。トンネルはそんなに長くなく、そこを抜けると、赤いトラス橋に出た。この鉄橋は、なんと明治26年製だとか。今さっき通ったトンネルも、この鉄橋も、登録有形文化財。
鉄橋を抜けると、終点。ここから観光坑道までは徒歩で行く。私はキャリーケースを預けて、観光坑道に入った。
観光坑道の中は薄暗い。江戸ゾーンと近代ゾーンに分かれていて、採掘の様子を再現した模型が展示されていた。
その先に進むと、採掘の様子が動く模型で展示されていた。私は思わず見入ってしまった。更によく見ると、汽車が走っていた。上部鉄道だろうか?私は隅から隅まで見て回った。
更に奥に進むと、遊学パークがあった。ここは見るだけではなく、体験できるところもある。
中でも気になったのは、地下1000mへのエレベーターだ。えっ、地下1000mまで行くの? じゃあ、行ってみようじゃん! 私は迷わずエレベーターに乗った。
1分もたたないうちに、地下1000mに着いた。あれっ? 早いな。そう思いつつ、私は先に進んだ。中は暗くなっていて、所々に展示物が明かりに照らし出されていた。
一通り回って、ゴンドラで移動することにした。鉱山で使われていたゴンドラらしく、私は興味津々で乗ってみたくなった。
最初はゴンドラの操作になれなかったが、押しっぱなし、引きっぱなしで動くことに気づいた。狭かったけど、なかなか楽しい。
ゴンドラに乗り終えて、戻ってきた時、私は驚いた。なんと、エレベーターの入り口だった。
その時私は初めて気づいた。地下1000mなんて行ってなかった。ただ、体験するだけのもので、エレベーターは全く潜ってなかっただけだ。これはちょっとどうだろうと思ったけど、疑似体験できるだけでも面白いなと思った。
私は観光坑道を巡り終えて、入り口に戻ってきた。暑いので伊予柑ソフトを買って食べる。今日2つ目のみかんスイーツだ。こっちもなかなかおいしい。
食べ終えた私は、帰りのトロッコに乗った。行きは普通の客車だったが、今回は鉱山列車で実際に使われていた『かご電車』を再現した列車に乗ってみた。
前の客車に比べてかなり小さい。扉や窓の一部が網になっている。なるほどこれが『かご』の名前の由来かな?私的にはサファリバスを小さくしたもののように見えた。
トロッコを乗り終えて、私は入口に戻ってきた。帰りのバスまではまだ時間がある。もう少し回って時間を潰そう。もう一度私は土産物屋に行ってグッズを買ってきた。
16時過ぎ、私はマイントピア別子を後にして、新居浜に向かった。今日は松山のホテルに泊まって明日は松山を散策。伊予鉄道の郊外線と松山市内線を乗りつぶそう。松山城に行って三津駅を見てこないと。
20分走って、私は新居浜駅に戻ってきた。次の特急しおかぜまでは50分近くある。その間にセブンイレブンで飲み物を購入。
私は17時13分の特急しおかぜで新居浜を後にした。目指すは松山。坊っちゃんの街だ。
18時26分。私は松山に着いた。改札を出ると、何やら曲が流れていた。じゃこ天の食べ物ソングらしい。じゃっこじゃっこ、じゃっこじゃこじゃこ、じゃっこじゃっこ、じゃこ天。なんだか耳に残る。そういえば、じゃこ天食べなきゃな。
私は松山市内線で今日の宿泊先のホテルに向かう。ここの松山市内線には環状線の他に、松山市駅や松山駅から道後温泉に向かう系統、松山市駅と本町六丁目を結ぶ系統がある。
次の停留所は大手町だ。その時、私は興奮した。この大手町は郊外線との平面交差があるからだ。路面電車が全盛期の頃はよく見られた光景だが、現在ではここだけだ。私は前の景色にかぶりつき、平面交差の通過を食い入るように見た。
2つ先の停留所、西堀端停留所で降りた。ここから徒歩でホテルに向かう。並行して本町線が走っているが、本町線は本数が少ないし、土日祝日は走っていない。なので歩くことにした。この本数の少なさ、何とかならんかな?
ホテルにチェックインして、私は明日からのことを感がえた。そして、周辺の駅を探した。すると、この近くに古町駅があることに気づいた。古町駅は郊外線と松山市内線の連絡する駅で、両線の車両基地がある。ここを使えばいいな。明日からはこっちを優先して使おう。
今日で旅は折り返し。後半も楽しもう。
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