8月1日

 2時間後、南海フェリーは徳島港に近づいてきた。夏の日の出は早い。空が少し明るくなってきた。私はデッキから徳島を見た。これから8日間、四国を旅するんだと思うと、わくわくしてきた。


 4時55分、南海フェリーは徳島港に着いた。私は徳島県に降り立った。今日の予定は鳴門海峡で渦潮を見て淡路島に向かう予定だ。


 私は1階に降りて、フェリーターミナルを出た。ここから徳島駅まではバスで連絡してる。しかし早朝の便に接続はなかった。結局タクシーか徒歩で行くしかないんだろうか。


 結局私はコンビニまで歩いて、そこからタクシーを呼んで徳島駅に行くことにした。深夜便に交通の連絡がないのはさすがにつらい。あってほしい。


 6時ごろ、徳島駅に着いた。まだ朝食を食べてない。どこで朝食を食べよう。駅前を見渡していると、松屋があった。よし、ここで朝ごはんを食べよう。


 私はソーセージWエッグの朝食を頼んだ。1つメニューが選べるらしいが、私は納豆を選択した。やはり朝は納豆だ。人はまばら。まだみんな寝ているのだろうか。


 朝食を済ませると、私は徳島駅に向かった。いよいよ旅の始まりだ。私は鳴門までの切符を買った。次のうずしおの特急券付きで取ろうと思ったが、鳴門に行くには次の鳴門行きの普通がいいとのこと。結局普通で鳴門に行くことにした。


 ホームに降り立つと、向こうに車両基地が広がっていた。そうか、ここは車両基地があるのか。それは知らなかった。私はしばらく車両基地のディーゼルカーを見ていた。新型車両に交じって国鉄の車両も見える。国鉄の車両、乗ってみたいな。


 徳島駅の構内を見ていると、アンパンマンのベンチを見つけた。よく見ると、ごみ箱もアンパンマンだ。そうか、この四国にはアンパンマン列車が走ってたんだ。


 6年前に高知に行った時にはオレンジのアンパンマン列車に乗ったな。そのアンパンマン列車も先月デビューした新しいアンパンマン列車に置き換えられ、引退した。新しいアンパンマン列車にも乗りたいし、いしづちのアンパンマン列車にも乗りたいな。


 7時30分、鳴門行きの普通で私は鳴門に向かった。国鉄の車両に乗りたかったが、思いに反して新しい車両だった。うーん、残念。


 8時9分、私は鳴門に着いた。ここからはバスで大鳴門橋へ向かう。バスの本数はけっこうある。バスを待つ人はそこそこいた。待合室には足湯があったが、その時間は営業してなかった。


 8時43分のバスで私は鳴門海峡に向かった。まずは渦潮を見ようと思ったからだ。そこから淡路島に渡ろうと思った。しかし、詳しい予定は全く考えていなかった。


 9時7分、私は鳴門公園に着いた。ここがバスの終点だ。こっちから観光船に乗ろうと思った。しかし、バスは1つ手前のバス停の方がいいと言われた。うーん、ちゃんと見ておかないと。


 やむを得ず私はキャリーケースを引きずりながら坂道を下った。観光船の発着する桟橋はこの下だ。私は近くの売店で鳴門金時の芋けんぴを買って桟橋に向かった。


 しばらく歩いて、私は港に着いた。ここから観光船が発着している。しかし乗る人は少なかった。まだ大型連休じゃないからだろうか。それとも大きな観光船に乗るからだろうか。


 観光船が出航した。すると、阿波踊りが流れてきた。徳島駅でも聞いたんだが、ここでも聞くことができるとは。びっくりしたが、徳島らしさを演出するためには大切な効果音なんだろう。


 大鳴門橋の下まで来ると、渦潮が見えた。私は感動し、歓声を上げた。しかも、いくつも見える。渦潮は夏の甲子園のふるさと紹介で何度も見たことがあるけど、生で見るとこんなに素晴らしいものか。迫力が全然違うし、潮風を感じることもできる。船のエンジンの響きを感じることもできる。


 しばらく見ていると、大きな船がやってきた。別の観光船だろう。ここには多くの人が乗っていた。別の観光船の人たちも渦潮を見ている。思わず私は手を振ってしまった。うーん、できればそっちに反応してほしかったな。


 クルージングを終えて、私は港に戻ってきた。グッズショップで何を買おうか考えていた。鳴門の名物はもちろん、淡路島の名物も売っていた。お土産に1つぐらい何か買おうか考えていた。


 今度は下から渦潮を見ようと思い、私は大鳴門橋に向かった。行った道を逆戻りだ。今度は上り坂。夏の暑さで汗びっしょりだ。そういえば四国でも梅雨が明けたばかりだったな。旅行中はみんな晴れてるといいな。


 坂を上っていくと、大きな橋が見えてきた。大鳴門橋だ。間近で見ると、より一層大きく感じる。


 下から渦潮を見る前に、大鳴門橋を高い所から見ようと思い、私はまず展望台に向かった。


 展望台に向かうにはエスカレーターで行くのだが、そのエスカレーターは有料だった。私はお金を払ってエスカレーターに乗った。エスカレーターはチューブの中を走っていて、周りは木々が生い茂っていた。所々、窓が開いていた。この時期、全部閉めて冷房を入れるんだろうけど、今年は新型コロナウィルスでこんなことができないんだろうな。


 エレベーターを抜けると、展望台の入り口に出た。しかし、そこは寂しかった。展望台の屋上までの途中の階にはレストランがあるらしいが、営業していなかった。自分は最初から行くつもりはなく、まっすぐ展望台に行く予定だった。しかし、閉まっているのは、人気がないのか、コロナの影響なのか。深く考え込んでしまった。


 エレベーターで屋上に着くと、私は展望台に向かった。目の前に大鳴門橋が見えた。何ともいい景色だ。こんな大きな橋を作った人々を讃えたくなった。


 その先には淡路島が見えた。この近くにバス停があって、そこから淡路島に行けないかと考えていた。また、下から大鳴門橋を渡って淡路島に行けないかと思っていた。


 エレベーターを降りてきた私は大鳴門橋の下にある遊歩道、通称「渦の道」に向かった。下から渦潮を見つつ、淡路島を目指そうと思った。


 ところが、渦の道から淡路島に行けないという。大鳴門橋の途中までしかないという。仕方がない。タクシーかバスで行くか。


 とりあえず、上から渦潮を見たかったので行くことにした。渦の道には、けっこう人がいた。私は持っていたキャリーケースを預けて、向かうことにした。コロナが騒がれている時世か、手の消毒をして体温を測って、いざ渦の道へ。


 私は渦の道を歩いていた。歩いていると少し振動がする。この上を走っている車からくる振動だろう。少し足がすくんだ。


 歩いていると、所々床がガラス張りになっている部分がある。その下には鳴門海峡が見える。すごい迫力だ。私はその上に立とうとしたが、足がすくんでしまう。ちょっと怖い。


 一通り歩いて、私は戻ってきた。今度は淡路島に行ってみよう。ここから抜けられないのなら、タクシーで行こうと思い、近くの駐車場に停まっていたタクシーにお願いした。しかし、駄目だと言われた。しかし、本数は少ないが、この近くに淡路島の洲本まで行く急行バスがあるらしいので、それに乗ることにした。とりあえず鳴門まで戻って考えよう。


 私は鳴門駅に戻ってきた。洲本までの急行バスを走らせているのは淡路交通だ。淡路交通は昭和41年まで洲本から福良まで鉄道線を走らせていたことで知られる。戦後は日本で唯一の日本列島以外の電車ということで知られていた。私はそれを鉄道廃線跡で読んだことがあるし、鉄道ファンではカラー写真を見たことがある。


 私は真っ先に私は淡路島へのバスの時刻表を見た。言っていた通り少なかったが、それよりも驚いたのは土日祝日は休みだという。コロナの影響がまだ続いていた。


 今日の淡路島行きは諦めて、宿泊先の高松に戻ることにした。池谷方面の電車まではまだ時間はあるし、ちょうど昼時なので、お昼を近くの王将で食べることにした。疲れたので今日はレバニラで。店はすいていた。徳島来たんなら徳島ラーメンが食べたかったけど、昨日のお昼に食べたし、今夜はうどんを食べるのでやめておいた。


 1時過ぎ、徳島方面の電車に乗ったが、高松行きの特急うずしおは池谷は通過して1つ先の勝瑞に停まるという。なのでいったん勝瑞まで行ってから高松に向かうことにした。その間に寝過ごさないように気をつけないと。


 勝瑞で特急に乗り換え。特急は向かいのホームに来る。私は跨線橋を渡って別のホームへ。その間に自販機でお茶を購入。勝瑞では多くの学生が降りた。この近くに学校があるんだろうか。


 しばらくすると、特急うずしおがやってきた。やった!新型の2700系だ!2000系を置き換える目的でデビューした新しい特急用車両だ。


 本来は2600系で置き換えるはずだった。しかし、振り子ではなく車体傾斜装置を搭載していて、土讃線では問題があったため振り子付きの2700系で置き換えるようにしたらしい。大歩危小歩危のカーブの連続する区間に問題があったんだろうか。先月デビューしたアンパンマン列車はこの2700系だそうだ。


 私は特急うずしおの車内に入った。車内はきれいで、新車の香りがクンクンした。それに、ACアダプタも付いている。これは便利だ。充電しながら、私は終点の高松まで寝て移動した。


 約1時間後、私は高松駅に着いた。高松に降り立ったのは6年ぶりだ。あの時は日帰りで琴電に乗って金毘羅山を登ったな。今回もそこに行きたいな。あと、中野うどん学校に行きたいな。でもここは岸井うどんで。


 今回予約したホテルは瓦町にある。瓦町へはこの近くにある琴電の高松築港駅から行く。以前乗ったことがあるのでこれは知ってた。


 琴電は鉄道ファンで見たことがあって、古そうな電車がたくさん走っていて、まるで博物館のようだと思った。古い電車はすでに営業運転から退き、近代化が一気に進んだ。


 あと、琴電で知っているのが、昔の瓦町の駅舎だ。今は瓦町フラッグというデパートが建っているが、昔は十角形の古めかしい駅舎があったという。その頃は志度線のホームも隣接していた。


 私はチェックインして荷物を部屋に預けるために瓦町に向かった。高松築港駅は高松駅から離れたところにある。ホームには元京急の1000系がいた。琴電には京急風の塗装をしたのが走っているそうだ。乗ってみたいな。


 私は車内に入り、辺りを見渡した。古めかしい車内にわくわく。もう1つ気づいたのが、冷房をつけているにもかかわらず、扇風機もあることだ。冷房が隅々までいきわたらないんだろうか。


 電車はあっという間に瓦町に着いた。瓦町は長尾線と志度線が分岐する交通の要衝だ。長尾線の電車はだいたい高松築港まで乗り入れているが、志度線のホームは離れたところにある。小型車しか走れないからだろうか。ここでは元京急や京王の電車ではなく、元名古屋市営地下鉄の車両ばかりが走っている。


 私は瓦町フラッグと反対側の出口からホテルに向かった。その途中には古い家もあった。古い家に古い駅舎。この組み合わせ、見たかったな。そう思いつつ、私はホテルに向かった。


 そのホテルは住宅地の中にあった。4日の朝までここに泊まる予定だ。チェックインを済ませ、私は部屋に向かった。


 エレベーターに乗って部屋のある階へ。部屋のある階に着くと、暑く感じた。冷房がかかってないんじゃないかと思った。うーん、こんな時期にどうして。突っ込みたくなった。


 私は部屋に入り、荷物を部屋に置くと、再び瓦町に向かった。余った時間で少し琴電に乗ってみようと思ったからだ。


 私は再び瓦町に戻ってきた。ここからちょっと琴平線に乗ってみることに。琴平行きの電車に乗っていると、京急色の電車と遭遇。あーこれ乗りたいな。


 今日は鳴門と淡路島に行く予定だったけど、急行バスが運休で行けなかったので断念。予定を変更することにした。明日は予定通り小豆島に行くが、あさっては淡路島に行こう。


 明日は小豆島。二十四の瞳映画村に行って、そうめんを食べて、世界一狭い海峡、土淵海峡を渡って証明書をもらおう。

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