君に逢えたなら

@yozakura_0206

君に逢えたなら


それは突然煙の様に跡形もなく姿を消した




五月雨

降り続く冷たい雨。当たり続ければ体温は奪われ、活力を無くす

湿気の暑さに蒸し蒸しし、雨は小さな街を呑み込む様に降る


ポチャン

水溜まりをスニーカーで踏み辺りに涼しい音が響く。片手に傘を持ち足取り軽くあの思い出の場所に行く

カランカラン

小さな本屋に入れば扉を開け鈴の音が店に小さく鳴り響く


「カフェオレを」

いつもと同じものを頼みいつもと同じ席に座り本を読む。


席はテラスの席

雨が降っているため雨が地に叩き付けられる音、車の騒音、人の歩く音、誰かの話し声

-外は雑音が過ぎるね-

と君が笑って話していたのを思い出す

でも、私はこの音が好きだ

好きだと言えば少し意味が変かもしれない。



人が生きる音_日常の何気ない音

これが落ち着くのだ。

今日も何処かの誰かが忙しく働き何処かの誰かが買い物をして何処かの誰かが誰かを支え

こうして社会は回っていく

誰かが働いてくれないと買い物も出来ない

誰かが買ってくれないと商売は出来ない

誰かが人を支えなければ生きていけない


人が人を支え生きていく。何とも素敵な事だ

だから私は外の"音"が好きだ

今日も生きているとより感じられるから

君は

-成程ね!確かにそうかも!-

と楽しそうに共感してくれた


本を取る

私のお気に入りの本【星の王子さま】

何度も読み気に入っている

星を旅する物語

何度も読んだ本の表紙を眺めページを捲る


机の片隅に置いたカフェオレを1口飲めば口の中に甘さが広がりほんのり苦味を感じる。


今日も君を思い本を読みカフェオレを飲み

君がひょこっと何事もなかったかの様に現れてくれないかなんてことを考えながら君を待っている。


ある日突然君は何も言わずに消えた

君は何を考え思ったのか

沢山の人から愛されいつも元気で明るい君

君と話した時は幸せだった毎日


落ち込んでる時も励まし合い

いつも一緒だった。君が隣にいるのが当たり前だと思っていた


2×××年××月××日

君はいなくなった

当然皆で君を探した。しかしどれだけ君を探しても君は見つからなかった


ただただ泣くことしか出来なかった私は同時に頼ってくれなかった、相談してくれなかったことが悲しかった。


もしも君に逢えたなら

「ごめんなさい」と謝りたい

君の変化に気付いてあげられず1人で抱え込み悩む君に気付いてあげられていたならば


何か未来は少しでも変わったのだろうか

君のいない日常なんて訪れなかったのではないだろうか。そんな事ばかり考える日々

君が居なくなり君のいない日常が当たり前になるのが怖い


いつか君の事を忘れてしまうんじゃないかと


もしも君が_帰ってきてくれたならば

精一杯の感謝を君に___。

そして














"おかえり"と君を笑顔で向かえ入れたい


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