第10話 ホワイトデー前(カクヨム限定)

「まさかここまでひどいとは」



凜へ自立する旨を伝えてからはや2時間 俺は自分の家事スキルの低さに絶望していた。


「掃除は余裕だけど、料理が無理ゲーすぎる」


凜にああ言った手前、インスタントで済ませるのもどうかと思い、ハンバーグをつくろうとしたはずだが、できたのは黒色の固形物だった。



「凛のつくるご飯が食べたい…」



つい弱音が出てしまうが、もう凜には頼れない これから頑張らないと



「ごちそうさまでした」


結局夕飯は、、 

       インスタントのラーメンで妥協した。




「さてと、次は食器洗いに洗濯か」


いなくなって初めて有難みがわかるというのは本当らしい。それにしても凜のやついくら俺の親に頼まれたからといって、こんな大変なこと嫌いな俺なんかのために毎日毎日… 女神かよ



「そろそろホワイトデーか お返しはしないとだし、考えないと」



思わず、にやけてしまう。もう関わらないと決めても、まだ凜と繋がっていられるのは嬉しかった。 だが、、、



そんな自分に釘を刺すように、凜の誕生日でもあるホワイトデーをもって凜との関係を終わらすことを自分に言い聞かせた。


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「彰人君に嫌われた?」


「うん…」


「なんでそう思うの?」


「もうお世話しなくてもいいって…」


今朝も朝のお迎えはいらないとメッセージがきていた。私が起きるより前に、、 あの彰人が…


「彰人君が自立するのはむしろ歓迎すべきことじゃないの?」


「そ、そうだけど いきなり、しかも全部の家事だよ?」

ぜったいにおかしい



「それ彼女じゃない?」


聞き耳を立てていたのか、隣のクラスのはずの樹下さんが会話に割り込んできた…

のはいいのだが、彼女が発した言葉は私を動揺させるには十分だった。



「え?」


でも、もしもそうだとしたら彰人がバレンタイン以来そっけないのと、急に自立しだしたのも説明がつく  嘘だよね 誰?誰? え?


頭が一瞬真っ白になり、その後は、ネガティブな感情ばかりが溢れできた。



「落ち着いて 彰人君が付き合ってることを隠せるほど器用じゃないのは凜が一番知っているでしょ!」



「う、うん」



「樹下さんも!」



「あーそういうこと ごめんね~ じゃっ」



「落ち着いた?」



「うん。 ありがと」



「あの凜があんなに取り乱すなんてよっぽど好きなのね 彰人君のこと」



「うん」



「彼女の話だけど 正直、可能性はゼロとは言い切れない」



だよね 彰人かっこいいし



「だから彰人君が彼女いるかどうか調べれて、上手くいけば凜が付き合える計画があるんだけどやる?」



「やる」


答えはもちろんイエスだ。彰人に拒まれてはじめてわかった。頼っていたのは彰人じゃなくて私のほう 彰人の傍にいれるならなんでもする


「1週間後のホワイトデーに凜がデートに誘うの ホワイトデーっていうカップルには特別な日だから彼女がいたら来ないだろうし、もし来てくれたら告白する    いい?!」


持つべきものは親友だ ありがとう由美



「うん 頑張る」



「10年越しの恋実らせてきなよ?」



「うん!」

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