【完結】俺と彼女のエンドロール 旧題:美少女の幼馴染が俺に構う理由

春風上東

第1話 かいもの

日曜日の朝10時30分。


デパートを俺こと源彰人は全力疾走で走っていた。



「まずい、30分の遅刻はまずい。絶対怒ってるよなこれ。。」



俺は昨日、幼馴染の藤原凜から買い物に誘われた。朝10時集合と早かったため断ろうと思ったが、彼女に楯突くとろくなことがないのを俺は学習しているので、約束はしたが、案の定寝坊してしまった。



「あ、いた」



待ち合わせの時計台のベンチに座っている待ち合わせの相手をみつけた。俺の声に、凛も気づいたようだ。予想通り、こちらを睨んではいるが。。



「もう!遅いじゃない!既読もつかないし、電話にも出ない。心配したんだよ?」


「ご、ごめん!」



ここで「10時に待ち合わせを決めた凜が悪い」と反論するほど、人間として落ちぶれてはいないし、凜が怖いので素直に謝っておく。必死の謝罪に凛も許してくれたみたいだ。



「まぁ彰人が起きれるとは思ってなかったし、もう許してあげる。」


「それよりさ、何か言うことないの?」


「え?」



この手の問いかけは、彼女の望むことを言わなければ、不機嫌になるので慎重に考える。今日奢ります?荷物持ちます?どれだ??



「勘だけど、彰人の考えてること全部違うと思う」


「悪い、教えてくれ。What am I supposed to say?」


「なんで急に英語?この服の感想!」



感想を求められ、俺は、凛の頭から靴までをみる。オシャレに詳しくない俺でもわかるほど、手入れがされている艶のある黒髪ショートとそれに似合う麦わら帽子と白のワンピース。足元はサンダルで涼しそうだ。



「うん。凄く似合ってると思う」


「あ、ありがと」



凛の顔が少し赤いのは気のせいだろう。こんな誉め言葉、凜なら言われ慣れているはずだ。今更、俺の言葉で照れるわけがない。



「彰人の服は…」



なぜため息をつく?動きやすいように上下ジャージだし凜が大量に買うだろうから、大容量のリュックもある。俺は、機能性重視派だ。



「私が服選ぶから着替えてよね?」


「いいけど金ないぞ?」


「そのくらい買ってあげる。投資だから」


「? まぁありがとう」



その後2時間ほど、凜に服の感想を求められるは、連れまわされるはで、疲れたので今はベンチで休んでいる。今も凜は店で服を選んでいるが、なぜ女性は色んな店をまわっても全然買わないのか。不思議である。

俺は行く店なんか既に決めて行くから30分で終わるのに。




そうこうしてるうちに凛が帰ってきた。



「おまたせ!もう疲れてるの? 彰人は軟弱者ですな~」


「うるせーな 空手全国大会出場と比べんな」




俺は地区予選どまりだが、凜は全国大会に出場しているほど強い。俺が待ち合わせに遅れたときに怯えていたのもそのせいだ。




「そろそろお昼にしよっか?」


「そうだな」




凜が行きたがっていたオシャレなイタリアンレストランに連れてこられ席に着くが、心なしか周りの視線が痛い。そりゃ凛みたいな美少女とジャージ着た普通の男(俺)が一緒にいたら目立つよな。なんで凜も俺みたいなやつと買い物なんか…



「ちょっと彰人聞いてる?」


「悪い。 聞いてなかった。」




リンハホッペヲフクラマセテイル!!!




「この前の買い物の話だよ!」


「あれか。」




2カ月前に、凜と買い物に行ったが、見たい店がお互い違ったので、別々に回ったほうが効率的かと思い、集合時間を決めて解散したのだが、凜を物凄く怒らせたらしく、3日間口も聞いてくれなかった。



「あれは悪かった 本当に反省している」


「 あんなの…もうなしね?」


「あぁ。約束する。」




食べ終えた俺たちは、俺の服を買うために店をまわった。1時間も凜の着せ替え人形になり、俺には着こなせないような高価な服を買ってもらって買い物は終了した。



「今日はありがとね」


「あぁ こちらこそありがとう。」


「また誘っていい?」


「俺でよければ。」


「今日の服着てきてよね? 絶対似合うから」


「頑張るよ じゃあ…」


『おやすみ』




大抵の人からの『また』は社交辞令だが、凜のは違う。なぜスクールカースト最上位の凜が幼馴染というだけで平凡な俺を気にかけてくれるのか。俺は悩みながら眠りについた。

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