デスメタル婚約破棄

@asashinjam

婚約破棄の結果

「クラシー殿下、 お目覚めですか?」


パンクロック学園のスミス学長が王子のクラシーを見下ろす。


「学長・・・? いつつ!?」


クラシーの体に激痛が奔る。


「い、 一体何が・・・」

「貴方が卒業パーティ中に婚約破棄をしたせいで

生徒達から袋叩きにされたんですよ、 覚えていませんか?」

「!!」


クラシーは思い出した、 そうだ自分は卒業パーティで婚約破棄をしたのだった。

しかし袋叩き?


「何で袋叩きにされたんだ?」

「それは卒業パーティに来ていた『死の鋼鉄』の演奏を邪魔したからでしょう

生徒達も怒りますよ」

「演奏? あの喧しい音の羅列がか?」

「世界で今最も評価されている音楽ですよ」

「ふん、 あんな物よりも素晴らしい音楽は幾らでもある」

「そうですか、 では殿下、 卒業パーティを台無しにしたので

損害賠償を支払って下さい」

「損害賠償?」

「えぇ、 貴方が婚約破棄をしたせいで卒業パーティは台無しになりました

生徒達も私達教師も激怒しています」

「なっ、 こっちは大怪我を負っているんだぞ!!」

「こちらは一生に一度の卒業パーティを台無しにされたんですよ

更に今年は死の鋼鉄まで呼んだのに・・・彼等のギャランティも支払って貰いますよ」

「ふん、 幾らだ?」

「10億G支払って頂きましょう」


眼が点になるクラシー。


「何だと? ふざけているのか? 一晩演奏するだけで10億だと?」

「いえ、 彼等のギャランティーとしては破格のお値段です」

「なっ、 ふざけ」


立ち上がろうとするも激痛に蹲るクラシー。


「ぐ・・・ぐぅ・・・」

「それから貴方の婚約破棄で起きた騒ぎで怪我人や備品の破損も起こっていますので

卒業パーティを台無しにした精神的苦痛のその分の賠償金もセットでお支払い下さい」

「幾らだ?」

「50億Gです」

「ふざけるな!! 一晩に50」


叫んで体に激痛が奔るクラシー。


「既に王宮に請求書は送りましたので」

「何だと・・・父上にか!?」

「えぇ、 陛下が婚約破棄を許可したという事は陛下にも責任がありますので」

「父上には何も言っていない!!」

「・・・・・」


部屋のノック音が聞こえる。


「学長、 ラシック陛下がお見えです、 殿下をお連れしろとの事です」

「分かりました、 直ぐに向かいます」


そう言ってベッドのタイヤロックを外して外に出る学長。

国王でクラシーの父親のラシックが怒り心頭でクラシーを見下ろす。


「父う」

「一晩で50億使って大怪我を負うか、 王家の歴史でもそんな馬鹿は居ない」

「・・・・・」

「何故こんな事になっているのか分かるか?」

「い、 いえ・・・」

「卒業パーティに死の鋼鉄が来る、 これだけでも人生に一度あるかないかなのに

こんなビッグイベントをお前の身勝手で潰されたんだ

こうなって当たり前だ」

「で、 ですが所詮楽団じゃないですか」

「彼等の年収はお前や並の貴族を凌駕する、 勿論納税額もな

ハッキリ言って一貴族よりも尊い存在なのだ

そもそも何故婚約破棄をした?」

「男爵令嬢のマリリンに恋をしたからです」

「そうか、 ならば普通に手続きをすれば良かったでは無いか

何故演奏中に婚約破棄をしたんだ?」

「いや・・・皆の前で婚約破棄をした方が良いかと思いまして・・・」

「そうか」


葉巻を吸い始めるラシック。


「常識が無い、 手続きも踏めない、 空気を読まない

人の楽しみを邪魔する、 浮気を堂々と行い正当化する

どれも王として有るまじき行為だ、 お前を廃嫡する」

「そんな!!」

「但し!!」


ラシックが声を発する。


「死の鋼鉄との対バンに勝利すれば廃嫡を免除する」


世界一の楽団との対バン、 果たして彼の運命は如何に。

まぁ結局廃嫡されるんですけどね。

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