第10話「人海戦術」
アオイ:じゃあ合流して大使館へ行きます。
GM:大使館ですけど、もう既に外交文書をまとめて国へ引き上げる準備を始めています。
アオイ:やばいやばい! このまま行かせちゃうと戦争が始まってしまう。
GM:絶望的な表情で、職員の人がやってきます。
GM:「何か御用でしょうか? 何度も仰るように、ここにはアンナ殿下はおられません」
バジル:カマをかけてみよう。「実はそちらの大使館から紋章が盗難にあったと聞いて来たのですが。調べても宜しいですか?」
GM:「冗談はよしてください」という反応が返ってきますよ。
アオイ:?
GM:「あの紋章はヴァンスター本国でみやげ物として広く売られているものですよ。あんなものは証拠にならないと申し上げているのですが、この国の人間は誰も信じてくれないのです」
レオン:みやげ物!?
バジル:エルーランでは売られていないんですか?
GM:「それは山ほどありますよ。当方は流石にすべては把握してませんがね」
アオイ:ところでヴァンスター側は戦争を望んでいるんだろうか? それによって情報の確度も違ってくると思うんだけど。
GM:それは皆さんのレベルでは分かりかねますが、表向きの反応を見る限り「戦争なんか冗談じゃない」って言ってますし、大使も誤解を解くためにヴァンスターには否定的でない立ち位置のエルーランの要人との会談を片っ端から試み続けているようです。
アオイ:随分腰が引けてますね。拡張主義のヴァンスターとは思えない。
GM:「いずれはエルーランを下したい」というのと、「今すぐ戦争を吹っかけたい」には大きな開きががりますので。下手なタイミングで戦端を開いたら、北方のパリス同盟と二正面作戦を強いられて国力をすり減らしかねません。
レオン:とりあえず、ここを出ましょう。
◆◆◆◆◆
アオイ:ではどうしましょうか? いっそヴァンスター騎士団の紋章を扱っている店を片っ端から当たりますか?
バジル:だけど、紋章がヴァンスター本国から持ち込まれていたらお手上げでは?
レオン:いえ、わざわざ布地に大使館の名前を書かせたのは、悪用を防ぐために出所を特定する為でしょう。それならば、紋章は市内で調達した可能性は高いです。
レイ:何故です? ヴァンスター本国で調達した方が説得力が増すでしょうに。
レオン:分かりません。油断なのか、何らかの意図が働いているのか……。
バジル:だが、どうやって調べる? 大使館も把握していない数を、全部調べきるとなると……。
GM:バジルが不安を口にした時、「あっ、ここでしたか!」と言う声と、大勢の足音がします。
水色の
率いているのは人買いに囚われていた少年、ジャンだ。
「少年銃士隊204名、只今集合しました! どうか、僕たちのも協力させてください!」
これにはレオンだけでなく、バジルも考え込んだ。
嬉しい気持ちは当然ある。
だが、少年銃士隊は結成されて日が浅く、ログレス市民への周知がまだまだ十分ではない。
カソックコートを着た子供たちがいきなり深夜に訪ねて来て、彼らは協力してくれるだろうか?
だが、バジルはただ頷いて「信じよう」とだけ述べた。
レオンも腹を決めた。
バジル:市内の商店を片っ端から当たって、ヴァンスター騎士団の紋章を飼った人間について聞き込んでくれ。敵対国の紋章だ。たくさん売れたとは思えない。いきなり大変な仕事だが、皆の幸せのため、頼む。
GM:ジャンは「分かりました!」と敬礼して、チームごとに調べる区域を割り振っていきます。
レイ:なかなかの指揮官ぶりですね。
アオイ:今度試しにバジル隊も指揮してもらいましょう(笑)
バジル:ヒドイ(笑)。あっそうだ、誰かひとり月光通りに走って、エルマンに協力を要請してくれ。
レオン:では、我々も人海戦術に参加しましょう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます