第13話「香具師の元締」

バジル:ここでお互いの調べた情報を交換します。「かくかくしかじかと」


レイ:犯人の1人は月光通りに居るみたいです。


レオン:じゃあ、私が協力を依頼した煙突掃除職人ギルドのマスターにやはり依頼して月光通りの裏街に行ってもらいましょう。

我々は変装して監視件護衛。マスターには一杯やりながら「規制なんか馬鹿馬鹿しい。餓鬼どもは大きくなると使えないんだから、今のうちせいぜい使ってやればいいんだ」ってくだをまいてもらう。


GM:では何日かして、煙突掃除職人ギルドのマスターが人買いを探しているという噂が立ち始めます。ただ、まだボリスは接触してこないですね。アルドが逮捕された事で慎重になっているみたいです。


レオン:そうなるとそろそろ我々の「この男を知らないか?」作戦は止めた方がいいかも知れない。自分の足で探そう。


GM:【知力】で判定してみてください。成功するといいことを思い出します。


レイ:【知力】は低い(ダイスを振る)……失敗。


レオン:(ダイスを振る)成功!


バジル:(ダイスを振る)私も成功!


GM:バジルとレオンはこの裏街を取り仕切っているエルマンという人物を思い出します。


レオン:そのエルマンと我々との仲はどうなの?


GM:良好ですね。達成値の一番高かったバジルは以前仕事の情報を交換した事があります。


バジル:では早速会いに行こう。



 エルマンは、恰幅のいい男性だ。

 愛想笑いの一つもすれば、そこいらの商人に見えなくもない。

 ただ、その瞳は、目の前の相手を値踏みするように、吊り上がった黒目を動かす。

 敵には容赦なく、味方には頼もしく。

 エルマンという香具師の元締は、そういう人物だった。



GM:「またあんたらかい? 毎度毎度厄介事に首を突っ込んでご苦労なことだな」


バジル:お久しぶりです。ボリスの事を話そう。「協力してくれないか?」


GM:「ボリスねぇ、部下に調べさせれば今の住所ぐらい分かるかもしれないな。だが、それを調べさせて、俺にどんなメリットがある?」


レイ:お金なら……。


GM:「残念ながら、金はたんまりあるんだよ。俺が求めているものを提示してみな」


バジル:「かわいそうな子供を助けられる」じゃダメなのか?


GM:かわいそうだと際限なく助けてたら、俺はずっとお前らの使い走りをしないといけないぜ?


バジル:うーん。


レオン:ここは私の出番ですね。「不当な価格競争をする商売敵を潰せる」と言うのは如何でしょうか?

 売買された子供を薄給で働かせるような店がはびこったら、ちゃんとやっている店は価格競争で負けるでしょう。結果月光通りのサービスが落ち込んで、長期的に見れば客足が減ります。そう言うのはお嫌では?


 エルマンは満足そうににやりと笑う。


「回りくどい理屈だが、まあ良いだろう。確かにうちの若い奴らのシノギが、安いだけのいい加減な商売敵に邪魔されるのは面白くねえ。バジル、こいつが邪魔になったら俺んとこに寄こしな。店のひとつくらい任せてやってもいい」


 レオンは誘いの言葉を微笑と共に首を振って辞した。


「私がついていきたい人間は、もう決まってますので」


 やり取りを聞いたバジルは「そうか。そんな奴がいるんだな。一緒にやれないのは残念だけど、俺に遠慮せずそいつのところへ行った方が良いんじゃないか?」なと言い出し、ふたりは爆笑したのだった。



レオン:隊長の天然ボケが凄いです(笑)。


GM:では、エルマンは部下を集めて聞いて回らせます。するとボリスは裏街の安い宿を転々としている事が分かります。彼と連絡を取るには「東の妖精亭」という売春宿で「アリス・ウエストウッド」という名前を呼び出せば会えるそうです。


バジル:なるほど。さてどうしようか。


レオン:我々が行くよりも、協力を頼んである煙突掃除職人ギルドのマスターに会ってもらおう。エルマンの部下に渡りをつけてもらって、こちらの指定した場所で会わせる。その近くにジャンを潜ませておいて声を聞かせる。

 声に聞き覚えがあれば捕まえるし、ただの代理人であれば後をつけてアジトを確かめればいい。場合によっては相手を信用させる為にあえて商売を成立させる手もある。


バジル:さすがレオンだ。


GM:軍師レオンここにありですね。


レオン:まあ、全部両親の受け売りだったりするんだろうけどね(笑)。


バジル:じゃあ早速エルマンに依頼して、部下にボリスとの会談をセッティングしてもらおう。


GM:「ま、そういうのは得意だがね。乗り掛かった舟だ。最後まで面倒見てやるよ」


レオン:では、動いてくれたあなたの部下に酒でも飲ませてやってくださいとコインを渡そう。


GM:「お前さん、話が分かる奴だな。バジルをちゃんと見てやれよ? こいつ周りが支えないとおっ死ぬぞ?」


バジル:ヒドイ(笑)


GM:「別にヒドくない。お前はそれでいいんだよ。それがお前の武器なんだから」と彼なりにバジルを買っている事を伝えますが……。


バジル:当然俺は気づかない(笑)


GM:ですよねー(笑)


レオン:では、「お任せください」とだけ返しましょう。


GM:というわけでコネクションにエルマンが追加されました。

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