第12話「女騎士」
●レイ 酒場で聞き取り
GM:最後は影の月亭ですね。顔なじみですので、レイを見るとすぐ声を掛けてきますよ。
GM:「やあレイさんじゃないですか。どうしたんですかこんな昼っぱらから」
レイ:似顔絵を差し出します。「……この男」
GM:「何ですか? 犯人探しですか?」似顔絵をじっと見て。「ああこの人ね。一ヶ月前から来るようになったけど。昨日から来てないですね」昨日というのはつまりアルドが逮捕された日です。
レイ:どういう人なのですか?
GM:「いつもひとりでやってきて、色んなお客さんの話に聞き耳立ててましたね。お客さんの事情に踏み込む訳にはいきませんが、探偵さんか何かかと思ってました」
レイ:じゃあ何処に住んでるとかは分からない?
GM:「ちょっと分かりませんね。最近来るようになった人ですし、常連さんってわけでもありませんし」
レイ:店の客に聞いてみます。「誰かこの人と話した事ある人は?」
GM:この中では居ないですね。飲んでるとこ見たとか話してるとこ聞いたとかいう人は居ますが、いちいち他所のテーブルで話しているところを気に留める人も居ないでしょうね。
レイ:なるほど。分かんないか。
GM:そんな話をしているとドンとドアが乱暴に開けられて何人かの赤枝の騎士団がどかどかと入ってきます。
レイ:ちょっと顔をしかめて様子を見ます。
GM:相手も貴方を見てちっと舌打ちをします。さっき皆さんが叩きのめした騎士ですね。
レイ:それは何と言うバットタイミング(笑)
それから手に持っている似顔絵を見て言います。
GM:「何だ、貴様らはまたちょろちょろと動き回って騎士団の仕事をかすめ取る気か?」
レイ:私は自分の仕事をしているだけですので。
GM:「平民風情に何が出来るんだ。我々に任せてとっとと手を引くんだな」
レイ:それは出来かねます。
GM:「何だ? それとも、痛い目にあいたいのか? お前ひとりでこの人数に勝てるとでも?」
レイ:数を頼みにするとは情けない。やるというなら、外で。
GM:そこで女騎士がやってきて、部下達を叱り始めます。「止めないか馬鹿者! 味方同士で何をやっている!」
その女性は、ピカピカの鎧を纏った上級騎士だった。
質のいい金髪を短く切りそろえ、綺麗に澄んだ青い双眼は意志の強さを感じさせた。
笑えばさぞ絵になるだろうが、その表情は、今は形のいい眉を吊り上げ、怒りを表現していた。
装飾が施された束から、腰にはいているのは上等な剣である事が分かる。これを扱うには、大変な技能が必要だ。おそらく上級職だろう。
「しかしエトワール隊長! このままでは騎士団の面子が立ちません!」
「お前たちがいい加減な対応をしたせいで、犯罪者の情報を危うく見逃しかけたことの方が面子に関わる大問題だ。汚名返上のチャンスを与えてくれたヴァレリー隊長の顔に泥を塗る気か?」
やり込められた騎士は「うっ」と言葉に詰まり、「申し訳ありませんでした」と謝罪した。
どうやら「ヴァレリー隊長」なる人物がよほど怖いらしい。
レイ:ようやくまともな赤枝の騎士に出会えました(笑)。
GM:本来はこちらの方が多数派ですので(苦笑)。女騎士は素直に謝ります。「済まなかった。例の件でおまえ達に先を越されて気が立っているのだ。まったく我らが争って得をするのは敵か犯罪者だけだというのに」
レイ:いえ、こちらこそ。
GM:「私としてはどちらが犯人を捕まえても王国の為になるのだから構わないと思っている。お互い頑張ろうじゃないか」と言って右手を差し出します。
レイ:ええ、それが一番です。
GM:「そこで伝えるが、ボリスを月光通りの裏街で見たというものが居た。あそこは我々よりお前達の方が詳しいだろう。我々は他の線を攻めるからそっちを当ってくれないか?」
レイ:いいのですか?
GM:「我々騎士は、長年の教育で染みついた物腰や雰囲気はなかなか隠せないからな。月光通りに溶け込もうとしても、どうしても警戒されてしまう。そういった事は銃士隊の得意分野だろう?」
レイ:了解しました。ところでお名前は?
GM:「む、自己紹介が遅れたな。私はエトワール。赤枝の騎士団のエトワールだ」
レイ:私はレイ。銃士隊のレイです。
GM:「レイか。宜しく頼む」そう言ってぶーたれる部下を連れて店を出てゆきます。
レイ:あの人も大変ですね。
GM:去り際に「きゃー赤枝の騎士団のエトワール様だわ! 素敵!」「壁ドンしてもらいたい!」という民衆の声が(笑)。王都の民衆は赤枝の騎士団に銃士隊に対するような「愛着」や「親しみ」は感じていませんが、強い「憧れ」や「敬意」を持っています。決して民衆の人気で負けっぱなしというわけではないようです。
レイ:あの人は魅力がある。じゃあ、情報も手に入った事だしマスターとお客に有難うございましたとお礼を言って報告の為に詰所に戻ります。
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