変態少女

下垣

運営に怒られるまで止まるんじゃねえぞ…

 ここは、のどかなヒダカ村。ニュージーランドにも勝るとも劣らないくらい羊が多い村だった。


 いや、ごめん。ニュージーランドは流石に盛りすぎた。そこまでいない。あいつら人口1人当たりに羊が7頭もいやがる。羊に選挙権与えた方がいいレベルで羊が多い。でも、そんなニュージーランドでも、羊の頭数の世界ランキングは7位なのだ。世界は広い。ちなみに1位は中国。


 そのヒダカ村に羊飼いの少女がいた。少女はウェーブかかった金髪で、目がぱっちりとした美人である。そして、少女は羊乳を飲んでいるせいか、バインバインな体型をしている。羊乳は男性が飲むと筋肉もりもりになり、女性が飲むと胸が肥大化するという効果がある。更にハゲが飲むと髪の毛がふさふさになるんだって。だから、みんな飲もう。


 嘘だよ。羊乳にそんな効果あるわけねーだろ! ハゲ!


 羊飼いの少女はイタズラするのがとっても大好き。特に嘘をつくのが一番大好き。今日も少女は嘘をつくのであった。


「きゃー! 変態が出たぞー! 変態だー! 変態に襲われるー!」


 少女は村中にそのことを吹聴ふいちょうして回った。その少女の声を聞いた一部の成人男性へんたいは少女の口から変態という単語が出たので興奮していた。


 だが、良識ある大人たちは、少女を守るため武器を持ち、変態に立ち向かおうとする。そして、少女を助けてワンチャンを狙っている。なぜなら少女は金髪の美人巨乳だから。助けないという選択肢はないのだ。


「どこだ! 変態はどこだ!」


 村の男たちが一斉に変態を捜してる。その様を見て少女はクスクスと笑うのであった。


「おい! 変態なんてどこにもいないじゃないか!」


 真実に気づいた村人が少女に詰め寄る。


「えっとごめんなさい。私勘違いしてたみたいです」


 少女は伏し目がちにそう言った。すると村の男たちは単純だからすっかり許してしまう。


「なんだ。そういうことか。なら仕方ないな」


「勘違いは誰にでもあるからね。しょうがないね」


 村の男たちは武器をしまい、そのまま家へと戻っていった。少女も羊の世話に戻り、その日は何事もなく終わった。


 そして、翌日。またもや少女は仕掛けた。


「いやー! 変態が出たー! 犯されるー!」


 またもや少女の口から発せられる犯されるという単語に一部の成人男性へんたいは興奮しているけど、これはまた別のお話。


 少女とのワンチャン狙いの屈強な男たちがまたもや武器を担いで、村中変態探しをしている。しかし、変態はどこにも見つからない。


「なんだ。変態なんていないじゃないか」


「おいおい。またかよ。これで2日目じゃないか」


 村の屈強な男たちは少女に対して憤慨した。流石に2回も騙されたとなったら怒りで頭がところてんになってしまうであろう。


「ごめんなさい。私勘違いしてたみたいです」


「チッ。次からは気を付けろよ」


 流石に2回目はやりすぎたと少女は反省をした。もう嘘はつかない。そう心に決めたのだ。


 そして、翌日のことだった。少女がいつものように羊の散歩をしていた時、少女は変態を見つけてしまったのだ。


 モヒカン頭でレザーを着ているそれは間違いなく変態。あれは男狩りの一族。このままでは村の男たちは全員食べられてしまうであろう。


 少女はこのことを知らせなければならないと思い、村中に知らせに行った。


「み、みんな! 逃げてー! 変態よ! 変態がいるわ! モヒカンレザーの男狩りスタイルの変態がいるの!」


 しかし、村は静まり返っている。


「ははは。変態の次は今度はモヒカンレザーか? そんな男狩りスタイルのやつなんかいるわけねえだろ」


「HAHAHA。ホモ漫画の見過ぎだぜ。お嬢ちゃん」


 村の男たちは全く少女を相手にしませんでした。


「男の人が頼りにならないなら、女の人に頼るしかない」


 少女はそう言い、議員宿舎に書き込みました。そこにいる議員に助けを求めに行ったのです。


「助けて下さい。変態が出たんです」


「いや、嘘でしょ」


「は?」


「性犯罪に関しては女性はいくらでも嘘をつけますからね」


「え?」


 議員は全く取り合ってくれませんでした。こんなこと言う奴議員なんてやめちまえ。


 そうこうしている間にモヒカンは村の男たちを次々に23センチのモノで蹂躙じゅうりんしていきました。


「アッー!」


 村の男たちの悲痛な叫び声がします。少女は後悔しました。もし、自分があの時、嘘をつかなければ、みんなは助かったのかもしれない。変態はどこに潜んでいるのかわからない。だからこそ、変態が出たと嘘をついてはいけないのだ。


「うう……」


 イタズラ好きの少女のせいで、村の男たちはいたずらになりましたってね。やかましいわ!


 みなさまも嘘をつくのはやめましょう。でなければ、この少女のように信用されなくなってしまいますよ。信用を失ってから後悔しても遅いのです。


 信頼を積み上げるのは長く時間がかかることですが、それを失うのは本当に一瞬なのです。たった1つの嘘でなにを言っても説得力が失われてしまうのです。


 だから、よいこのみんなは決して嘘をついちゃだめです。このナレーターみたいな品行方正で誠実な大人になりたかったら、絶対に嘘をついてはいけませんよ。絶対ですからね。

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変態少女 下垣 @vasita

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