LIVING BY NECK HUNTING sidestory FOOLS KINGDOM
SEN
Living by neck hunting FOOLSKINGDOM
台本:SEN 声劇7人台本(男6・女1) 所要時間:80分
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※アドリブ等はストーリーを捻じ曲げない、雰囲気を壊さない程度であればOKです。
キャラクター紹介
シマク(男・29歳)
リヴィア帝国の正統王位継承者の王子。リヴィア皇帝陛下の唯一の子供。常に甘やかされ育ってしまった為。我儘で性悪。悪趣味。前髪をずっと気にしている。剣の腕はそこそこ。
フラス(男・37歳)
リヴィア帝国七騎士団長の一人【義心】のフラス。勝つためならなんでもする。剣の腕は神域クラス。彼の本気を見たものはいない。繊細でシマクの尻拭いばかりしている。
イーア(女・25歳)
リヴィア帝国七騎士団長の一人【疑心】のイーア。度が強い眼鏡をかけ暗いことをぶつぶつと言っている陰キャ。シマクの側近で全ての世話をしている。根暗だが剣の腕は剣豪クラス。元蛮族ジャミ民族の一人。
ユクロ(男・28歳)
リヴィア帝国七騎士団長の一人【畏怖】のユクロ。無感情で女子供容赦なく残虐に裁く。物事を淡々とするタイプで感情を全く表に出さない。剣が好きでコレクションを色々持っている。フラスの剣が欲しくて仕方がない。
チダイ(男・26歳)
盗賊。陽気でひょうひょうとし隠密行動が得意。女好きで酒好き。いざ殺しとなるといたぶりじわじわ殺すのが悪い癖。フィナメタルと言われる希少鉱石でできた鞭、ラスパーディアという鋼の鞭を愛用している。
リノグ(男・37歳)
リヴィア七騎士団に恨みを持つ東の国アルサの剣豪【剛冑】と呼ばれている。七騎士団に復讐を果たすべくリヴィアにやってきた。チダイとレイムを傭兵に雇い七騎士団と対立する。特殊な甲冑を纏いブゼンと呼ばれる薙刀を自在に操る。
レイム(男・30歳)
リヴィアより遥か東の国トウセンの剣豪、【一閃のレイム】。他に類を見ない銃剣を使う。リヴィアまでも噂が噂を呼び『一閃のレイムにはかかわるな』と七騎士団の耳にも入っていた。
本編↓
シマク
「あー……暇だ」
フラス
「暇でしたら剣の稽古でもしましょうか?お相手いたします」
シマク
「そんな気分ではない」
フラス
「そうですか…」
シマク
「少し前髪を整えたら街をぶらぶらしてくるかぁ」
フラス
「なりません…あなたは一国の王子、更に唯一の正統後継者……そうそう毎日簡単に街をうろついていいものではありませんよ。もしあなた様の身に何かあっては───」
シマク
「イーア、ユクロ…俺についてこい」
イーア
「はいっ!シマク様」
ユクロ
「えぇ~?」
シマク
「これでいいのだろう?あとこの前髪も、
いいだろう?」
フラス
「…はぁ……では私も参ります。その二人だけでは少々不安がありますので」
イーア
「えぇ?……い、イーア…強い…のに」
シマク
「おいおい、お前が城を空けたら誰が守るんだ?」
フラス
「頑固者のロウガが居ますよ。アレが居れば大丈夫です。それよりも王子の身が心配ですし腕の立つ者が一人はお傍にいないと─」
ユクロ
「あ、そうですよねぇ私なんかよりフラス様の方がお強いですから私なんかに構わずどうぞ無駄にぶらぶらとねり歩いてきてくだ───」
フラス
「お前も行くんだよユクロ、少し距離を取りながらついてきてくれ」
ユクロ
「えぇ~…コレクション達が僕の手入れを待ってるんですけどぉ?」
フラス
「いつもみたいに徹夜でやればいいだろ。いいから来い」
ユクロ
「えぇ~……ちぇっ…まじかぁ…仕方ないなぁ~…王子ぃ?早く帰りましょうね?」
シマク
「わかっている。しかし……こうまで暇だと何もする気がおきんな…あ、前髪もつれた」
イーア
「仰る通りですシマク様」
フラス
「リヴィアの大陸統一から十年以上過ぎていますからね…あとはエフナ大陸のみですから」
シマク
「それだ、なぜ王はあのようなくだらぬ大会を開く大陸に攻め入らないのか…まったくわからん。俺ならとっくに攻め入っているよ。外界にも着工したいところだな」
ユクロ
「王はこの大陸統一後早々に病にかかられていますからねぇ…攻め入る気力も意味もないんじゃないですか?」
フラス
「……そうだろうな……ってユクロ、少し距離を取れと言っただろう。王子だけでも目立つのに更に騎士団長の内3人が一緒に歩いていては目立ちすぎる」
ユクロ
「あーはいはいわかっていますよー離れてますーはいはいじゃあね」
フラス
「まったく……」
●間5拍
◆SE歩く
ユクロ
「まったく…あのクソ王子には毎回振り回される……それに毎回必ずトラブルに巻き込まれる。あの時だってそうだ、子供のベヒンモスを捕まえるだなんだと討伐にでた時も散々な目にあった。王子が背後を取れとか命令するから回った途端に──」
◆SEドンッ→水
チダイ
「おっとー…あ、すまんなぁねえちゃん」
ユクロ
「ねぇちゃん?おい、ん?あ、なんだこれ……」
チダイ
「あっちゃ~やってもうたわ~…ぶどう酒、こぼしてしもうた~」
ユクロ
「おい、お前。これ…どうしてくれるんだよ。高いんだぞこの服」
チダイ
「あぁ~!すんまへんすんまへん!弁償しますさかい堪忍してください……ユクロはん」
ユクロ
「ん?なんで僕の名前を───」
◆SE刺す
ユクロ
「っ!?」
チダイ
「チッ……浅いわ」
ユクロ
「ぐっ…貴様っ……騎士団長にこのような事をして許されると思うなよっ」
チダイ
「これはとんだ無礼をいたしましたな~?えらいすんまへんユクロはんっ!」
ユクロ
「狙いはなんだ、言え」
◆SE抜刀
チダイ
「そう簡単には言えませんな~?しっかし育ちが良さそで悪そな悪趣味な服着てまんな~?女の子ならもっと洒落た服着んとあかんで?ワテが切り裂いてもっとおしゃれにしたりましょうか?」
ユクロ
「女の子だ?しかしベラベラと口の回るやつだな・・・断わる、結構だ。さぁ言え、目的を」
チダイ
「絶賛目的真っ最中、やがな」
ユクロ
「どういう意味かわからないな」
チダイ
「こういうことや」
◆SE鞭を取り出す
ユクロ
「ほぅ?僕とやろうってのか……いいだろう」
チダイ
「わての目的はあんさんの命、やで?」
◆SE鞭しなる
ユクロ
「はぁ……これだからこの街は嫌いだ···僕に喧嘩ふっかけようとは愚かだな。七騎士団長の名は伊達じゃない、その身を持って味わうがいい」
チダイ
「なんの策も無く、あんさんに喧嘩ふっかけまっかいな・・・ニヒッ」
●間5拍
リノグ
「もうじきだ……準備と覚悟はいいかいのぅ?レイム」
レイム
「…いつでも。その為に来たんだからな…報酬分は働いてやる」
リノグ
「誠、恩にきる」
レイム
「勘違いするな…お前の為ではない」
リノグ
「あぁ…わかっている。来たぞ…下がれ」
レイム
「……」
●間3拍
フラス
「……ユクロの姿が見えなくなったな……警戒しておくか」
シマク
「おいフラス。何をぶつぶつ言ってる!置いていくぞ?これならイーアだけでよかったじゃないか。なぁ?」
イーア
「はいっ!私だけでよかったのです!フラスは今すぐに帰ってもいい!」
フラス
「シマク様…城に引き返しましょう、イーア…十分に警戒しろ……何やら嫌な気配がる」
シマク
「そんなの俺だって感じでいるぜ?前髪にひしひしとな」
イーア
「いつも、凄い…ですよね…シマク様の前…髪……この前は…猫が目の前を通るかどうか…当てられていた……」
シマク
「ふんっ…それな??」
フラス
「まったく…ふざけていないで……っ!?シマク様っ!!!」
レイム
「その首、いただく」
シマク
「なっ!?」
◆SE抜刀→剣交
イーア
「ぐぅっ!!!っつあぁぁぁっ!!」
◆SE剣弾
レイム
「よくぞ護った…さすがリヴィアの騎士団長だ」
フラス
「何者だ貴様…名乗れ」
レイム
「騎士道にのっとってやる…か……私はレイム…これでいいか?」
フラス
「レイム…だと……イーア、シマク様を城へ…ここは私が引き受ける」
◆SE構える
シマク
「あぁ、頼んだぞフラス…行くぞイーア」
イーア
「は、はいシマク様」
◆SE走る
フラス
「さて……俺の知識が確かならば……レイム……一閃のレイムか?」
レイム
「…いかにも…だが…その呼び名は嫌いだ。かの有名な七騎士団様に知られているとは……俺も有名になったもんだな」
フラス
「その特殊な剣…間違いないな。遥か東の山脈を越えてあるといわれている街…戦争なんてそっちのけで自らを鍛えるが為にある部族がいると聞いていた…確か──」
レイム
「トウセン……懐かしいな。久しく帰っていない」
フラス
「ふんっ…一度手合わせしたいと思っていた。もちろん命のやりとりを……しかし、お前。何故シマク様を狙う」
レイム
「依頼だよ。雇い主からの」
フラス
「ほぅ?その依頼主の名は?」
レイム
「言うわけなかろう…馬鹿なのか?吐かせたかったら・・・」
フラス
「力ずくで、か?」
レイム
「話がわかるじゃないか…構えろ」
フラス
「とっくに構えているが?」
レイム
「ほぅ…それがお前の戦闘態勢か……面白い」
◆SE構える
レイム
「居合か・・・久しいな・・・この感覚は」
フラス
「達人クラスと斬り合う・・・この感覚は」
レイム・フラス
「甘美」
●間5拍
シマク
「まったく次から次へと何なんだ?結局イーアだけじゃないかぁ…賢いなぁイーアは」
イーア
「はい!!私はいつでもシマク様のお傍に!!」
リノグ
「よぅ王子ぃ…チダイもレイムも上手くやってくれたみたいだな」
シマク
「あん?誰だお前は?俺の前髪もお前のような頭の薄いやつのことは知らないと言っている」
リノグ
「おい、相変わらずムカつく野郎だぁ…」
◆SE振る
イーア
「っ!?」
リノグ
「ん?…ジャミ民族か、厄介だな」
イーア
「知って…いるのか」
リノグ
「互いを高めあった仲だよ。だからお嬢ちゃんやめときな?俺はジャミ民族の動きは手に取るようにわかる」
イーア
「・・・・・・あ?ジャミ民族は個々でスタイルが違う…お前は私と戦ったことないだろ?なら私の勝ちだ」
リノグ
「よくいうぜお嬢ちゃん…俺に勝とうとするなら大砲でも持ってくるんだな?そんなチンケな短刀じゃ俺のこの甲冑は貫けねぇよ」
イーア
「馬鹿かぁ!?その隙間だらけの鎧なら刺しまくれるわぁ!瞬殺だよっ!……隙すら与えん…………伍の舞」
◆SE抜刀×5
リノグ
「ぉうぉう気合入ってんじゃねぇか~いいぜぇお嬢ちゃんかかってきなぁ!」
◆SE振る
シマク
「イーア、いけるか?」
イーア
「愚問です、滅多刺しですよあんなの!シマク様は城へ」
シマク
「あぁ、頼んだイーア」
リノグ
「ぉうぉう王子を逃がしたか…このリノグ、相手にとって不足は無い!かかってこい小娘」
イーア
「圧倒的手数、思い知るがいい」
●間5拍
チダイ
「あっははははは~!どうないしたーん?ユ~クロはーん?そないバテバテになって!俺はまだピンッピンしとるでえ?」
ユクロ
「はぁ…はぁ…くっ、何故だ?…やけに息が上がる…乱れる…はぁっ、はぁっ」
チダイ
「えっへへ~!もーぅ教えちゃおっかなー?それともまだ鞭で縄跳び遊びしたいんか~?えぇ?っおい!!!」
◆SE鞭しなる
ユクロ
「くっ!?……はぁっ…はぁっ…わかったぞ…これだな」
◆SE破れる
チダイ
「おっほほほ~!大正解やぁ~!すごいな~?こんなはように気づかれたんは生まれて初めてやわ~!」
ユクロ
「小癪な…はぁはぁ…真似を…メロシナをさっきのぶどう酒の中に…はぁはぁ…仕組んでいたとはな…迂闊だった。上手に匂いを消してやがる」
チダイ
「草の名前まで知っとるんかいな~?よう知っとるなー?めちゃくちゃ目立つ匂いしとるからなーこれぇ…この毒はすぐ酸化して蒸発する、んで蒸発した毒は空気中に紛れる……んで真っ先に吸うてるんは?」
ユクロ
「くっ」
チダイ
「ユックロは~ん!あんたやぁ!!んでその効能は言わずもがな?あんさんの息が切れてきてんのがそれや!一時的やけど肺を小さくする恐ろしい毒!あぁ恐ろしっ!」
ユクロ
「…だから貴様は…はぁはぁ…距離を取る鞭で攻撃してきて…はぁはぁ…」
チダイ
「せやでせやでぇ~!?そんなん近づいたら俺まで吸うてまうやん?アホやろそんなことしたら!せやから鞭や…高かったんやで~この鞭ぃ…んんっ…フィナメタルいう金属使っとってなぁ?めっさふんだくられたでほんま……せやけど…」
◆SE鞭しなる→剣交
ユクロ
「ぐっ!?」
チダイ
「ちゃぁんと鋼しよる…痛いで?…こほっ…身ぃ削げるで?」
ユクロ
「……」
チダイ
「なんとかいうたらどないや?ふぅ…こほっこほん…その小綺麗なお顔が、見れんようなるで?」
ユクロ
「くくっ…はぁはぁ…これだからこの街は嫌いだ···いや?これだからこの街はやめられないっ!」
チダイ
「なんや急に」
ユクロ
「へへ…これが何か…わかるか?」
チダイ
「ん?粉?なんやそれ……こほっ…んんっ…」
ユクロ
「メロシナ花……お前は液体…俺は粉末……お互い様だな?」
チダイ
「お前っ!?……撒いてたいうんか…くっそっ!…ごっほ!こほっごほっ!!」
ユクロ
「ぶどう酒浴びた瞬間に撒いたさ…はぁ…はぁ…これで、対等だな」
チダイ
「こい…っつぅ!」
●間5拍
レイム
「……」
フラス
「……」
レイム
「そろそろ動いたらどうだ」
フラス
「そちらこそ…いつでもどうぞ」
レイム
「……さすがは七騎士団を仕切っているだけはある…先に動いたほうが不利ということは承知というわけか」
フラス
「居合についてそれは定石…当たり前の制約だ…それを破れば」
レイム
「負ける…お前…やはり面白いな」
フラス
「貴様こそ、私をここまで楽しませてくれる奴は久しぶりだ」
レイム
「ふふっ…大盾ともやったらしいな…どうだった?強かったか?奴は」
フラス
「大したことはない…ただの硬い大男だ」
レイム
「そうか…俺も一度手合わせしてみたいもんだ…よし、そろそろ……いいか」
フラス
「ん?……先に動くか?不利ということを知っておきながら…何故」
レイム
「簡単な話だ、俺は更にその先……初動の先手を取れるからだ…先に動く理由などそれ以外なかろう?」
フラス
「初動の更に先手…だと?」
レイム
「参る」
◆SE銃声
フラス
「っ!?」
レイム
「一合」
フラス
「ちぃっ!!っはぁぁぁぁぁあ!!」
◆SE剣交→鍔競(鳴続)
レイム
「……何と速い…何という抜刀速度……銃をかわし更にこれを受けるか」
フラス
「この剣でなければ確実に間に合っていない……俺の特注品なんでな」
レイム
「面白い…だが俺の剣も特注品でな」
フラス
「みたいだな…そのような剣は初めて拝見した」
レイム
「故郷の職人の力だ」
フラス
「なるほど……その剣、いただこうっ!!」
◆SE剣弾
レイム
「いい度胸だ!まばたきするなよ」
フラス
「こちらのセリフだ!」
◆SE剣交(鳴続)
レイム
「くっ…フン…はぁっ!!!」
フラス
「っでぁ!…くぅ…っつあ!!」
●間5拍
◆SE剣交(鳴続)
イーア
「おらおらおらおらおらぁ!どうしたどうしたぁ!!一太刀も振れねぇかぁ?!」
リノグ
「ぬぅ…中々の猛攻、やるな…しかしそのような剣では私の甲冑は貫けんぞ」
イーア
「うるせぇえ!反撃もできねぇくせにぃ!どの口が言ってんだよぉぉお!!」
リノグ
「してやらなかっただけだよぅ。ならば受けるがよい…我が薙刀のぉ……旋風をぉぉおお!」
◆SE振りかぶり
イーア
「そんなクッソでけぇ武器ぃ!当たるかぁぁ!」
リノグ
「そぅるぁぁぁああああっ!!」
◆SE高速で振り回す(鳴続)
イーア
「なっ!?ぐぅっ!!」
◆SE高速剣交
リノグ
「さっきまでの威勢はどうしたぁ?気合が足りんぞ気合がぁ!!わははははっ!!」
イーア
「くっそ!…なんだあの速さ……見えない」
リノグ
「ここに飛び込んでこい!綺麗に刻まれるぞっ!?わははははっ!!」
イーア
「なめんな…なめんなぁぁあああ!!」
◆SE高速剣交(鳴続)
リノグ
「その心意気しかと見た!だが…こんなものかリヴィア!こんなものかジャミ民族!恐るるに足らぁんっ!」
イーア
「止める止める止められる!止めて!みせるっ!!!!」
◆SE剣交
リノグ
「なっ!?………伊達に七騎士団長ではないということか…これを止めるとは」
イーア
「騎士団長だからではない…私だからだ、私の型だからだ。これでしか止められない」
リノグ
「一本で止めようとせず五本全て使うとは…私が相対したジャミ民族とは少し違うようだな…御見それしたぞ」
イーア
「当たり前だろう……伍の型は私しか使えない…私が最後のジャミ民族だからな」
リノグ
「全滅したとは聞いていたが…本当だったとはな」
イーア
「リヴィアに全て根絶やしにされたよ、私の民族は」
リノグ
「では何故リヴィアを背負い戦う…おかしいではないか」
イーア
「シマク様には恩がある…だから私は…フラスを殺す」
●間5拍
シマク
「まさかあんな連中が私を狙うとはなぁ…さすが俺様ってところか?ふははっ!!……ふぅ…お芝居も疲れた。まぁ、しかし今のところ誰も?…俺様が仕組んだ罠だとは思っていないだろう…狙われているのは実は私ではなく…七騎士団だということがな!!!ふふふ…全て俺の作戦通り…くふふっ、ふははははは!あ、前髪跳ねた、クソッ……まぁゆっくり戦いを楽しみ潰し合ってくれ」
◆SE大扉
シマク
「ロウガよ、手筈は整っておるか?…うむっさすがだ!お前ぐらいだからな過保護ではなく自由にさせてくれるのは。俺に協力的な所だけは褒めてつかわすぞ?それとも興味が無いだけか?ん?あとはその無口と態度を何とかしたほうがいいぞ?……ちっ、面白くない。よし、準備だ…クククッ………ラウトぉ!ウサチぃ!出陣の用意をしろ!!!」
●間5拍
チダイ
「はぁ…はぁ…お互い…バッテバテやな…はぁ…っはぁ…わしもあんさんも…動けんなったなぁ」
ユクロ
「その…ぜぇぜぇ…ようだな…引き分けということに…ぜぇぜぇ…しておいてやるか」
チダイ
「ふぅ…しっかし…あんさんの毒返しには参った…いろいろ詳しいようやな…毒に」
ユクロ
「へっ…目に見えぬ脅威…これは本当に怖い…どれぐらいの軍を揃えれど疫病が蔓延すれば1万の軍勢なんざあっという間さ…」
チダイ
「確かに……実際俺の故郷も疫病で全滅した…帰りもでけへんかったわ」
ユクロ
「綺麗な花でさえも、作り手次第で毒になる…これは人も同じ…育てかたさえ間違わなければ、使い方さえ間違わなければ…皆に愛される華のまま」
チダイ
「それはワテもあんさんも一緒や…すぅ…はぁ……治ってきたみたいやな…メロシナの毒は致死量さえ越えんかったら安楽死の道具になる」
ユクロ
「手遅れの仲間にでも飲ませたことがあるのか?…窒息とは違い呼吸が小さくなり、酸素が回らなくなった頭は徐々に機能しなくなり眠るように絶命する。薬学氏ハナイの論文書を読んだのか……お前詳しいな」
チダイ
「まぁな…この時代を生きるには武力だけやったらあかんっちゅうのはよーくわかっとる…だからや、ただそれだけや……あんさん中々面白いやつやなぁ?よぅ見たら顔も可愛いし」
ユクロ
「気色の悪い…貴様に気に入られても仕方ない……ふんっ…だが、色々話せば語れそうだな?」
チダイ
「今度は毒の入ってへんぶどう酒で一杯やりながら語ろや」
ユクロ
「あいにく…僕は酒が飲めんのでな……ミルクで勘弁してくれ」
チダイ
「はぁ?ミルクて!まじかいな!?あっはははは~!!」
ユクロ
「笑いすぎだ殺すぞ。シマク王子の命を狙っていたことを忘れてはいないからな」
チダイ
「あぁ…それなぁ?……めちゃくちゃ時間も稼いだしそろそろええやろ…そのシマク王子を狙った俺らやねんけどなぁ…実はな?」
●間5拍
◆SE高速で剣交
フラス
「くっ!っでぁ!!ふんっ!」
レイム
「ちっ…くっ!小癪っ!」
◆SE小さい爆破
フラス
「くっ!?」
レイム
「隙ありだ」
◆SE剣交
レイム
「……なんと…鞘で受けるか……ここまでやって俺の攻撃が掠りもしないのは久しぶりだよ」
フラス
「実はこの鞘のほうが特注品でねぇ…できれば傷つけたくはなかったんだが」
レイム
「ふんっ…剣を愛すか…自分の身より剣を庇う…か?それを鍛えた職人は泣いて喜ぶだろうよ」
フラス
「こいつのおかげでここまでこれた…こいつを鍛えたのは俺の父親だ…今でも感謝している」
レイム
「親孝行なことだ……お前、今ここで殺すには惜しい男だ」
フラス
「フンっ…こちらのセリフだな、お前こそ七騎士団に入ればいい…七騎士団は実力主義だ、正式な決闘を挑みそこで見事殺せば晴れて騎士団長だ…」
レイム
「なるほど…強者こそ全てか。まさに弱肉強食の国…愚者の集まるリヴィア帝国そのものだな」
フラス
「なんとでもいえ…弱く生き、ただ蹂躙され、殺されるのを待つ奴らよりもよっぽど良い」
レイム
「弱く生きねばならない人間も居る…力による平和は平和ではない。血が流れ人が大勢死にただ憎悪を生む…私はそんな世界は望まん。剣が無くても生きていけるそんな世界を望む」
フラス
「綺麗事など結構。世を変える為にはまず世界を手中に収めねばならんのだ…リヴィア王も最初はお前のような考えであった…だが、変わられたのだ…王は」
レイム
「ほぅ…リヴィア王も平和を願っての大陸統一だったのか?……ルエホジアでの攻め方はそうは見えなかったが?おもちゃを取られた子供のようにただ憎さ悔しさだけで攻め入っているようにしか私は見えなかったが」
フラス
「そんな前のことは忘れたな……さてどうする?決着をつけるか?」
レイム
「ふんっ…もぅいいだろう」
フラス
「何がだ」
レイム
「潮時だ」
フラス
「潮時?」
◆SE角笛
フラス
「敵襲…だと?このリヴィアにか……ありえん」
レイム
「……」
●間5拍
リノグ
「フラスを、殺す?」
イーア
「あぁ…私の種族は全てリヴィアに殺された…フラスの指揮の元…」
リノグ
「それで七騎士団長にでもなったというのか?」
イーア
「その通りだ…でも、私を必要としてくれる人ができた…それがシマク様だ…私の…唯一の…理解者」
リノグ
「わからん、アイツは自分の欲望の為にしか動いていないように思えるが?」
イーア
「みんなわかってない…あの方は…お優しい方なんだ」
リノグ
「お前とあの前髪王子に何があったかは知らないが私はアイツを殺さなければならない」
イーア
「何故だ」
リノグ
「言う必要はなかろう」
イーア
「誰かに…依頼されているな?誰だ、言え」
リノグ
「言わん…いや、言えんな」
イーア
「吐かせる」
◆SE構える
リノグ
「面白い…本気の目だな」
イーア
「ここから先はあまりやりたくない……けど……けどっ!!!!」
リノグ
「っ!?こいつ…眼球が小さくなりやがった」
イーア
「私の型に六は無い……だがその次がある……狂い裂き乱れ、七の舞………………っしゃぁぁぁぁぁぁああああああ!!!!!」
◆SE抜刀×2
リノグ
「な゛っ!?」
◆SE高速剣交(鳴続)
イーア
「あ゛あ゛ああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
リノグ
「ぐうぅぅぅ!!?七刀流だとっ!?なんという手数っ!なんという速さ!」
◆SE刺さる
リノグ
「ぐぅっ!?鎧の隙間を一瞬の隙をついて狙ってきておる…ただ闇雲に斬りつけているわけでは無いというのかっ!」
イーア
「ぁぁぁぁぁぁぁああああああああ゛あ゛!!!」
リノグ
「ぐぅぅっ!?反撃が…できんっ!…くっ!一撃一撃が重い…こいつ、本気ではなかったというのか!?ぐぐっ…鎧の装甲が持たない!」
◆SE刺さる
リノグ
「ぐぁぁっ!?しまった、脚をいかれた!!」
イーア
「しねしねしねしねしねぇぇぇええええ゛!!!!!」
レイム
「止まれ小娘」
◆SE剣交
イーア
「っ!?……え…止め…た?これを?」
リノグ
「レイムっ!!すまねぇ…助かった」
レイム
「豪冑のリノグともあろう者が…情けない姿だ」
リノグ
「めんぼくねぇ…侮っていた。さすがは七騎士団だ……そっちは?」
レイム
「小娘の背後を見ろ」
リノグ
「なっ!?……小娘の真後ろで抜刀体制……」
フラス
「動けばこいつごと斬る」
イーア
「フラス……」
リノグ
「仲間ごと斬れるものか」
レイム
「いや…こいつは斬るよ。そういう男だ」
フラス
「……」
リノグ
「まじか……笑えねぇぜ七騎士団長」
フラス
「一時休戦と言ったはずだが?レイムよ」
レイム
「仲間を助ける為に受けただけだ…斬るつもりはない」
◆SE納刀
イーア
「あ……あ…」
◆SE剣を落とす
フラス
「拾えイーア…王子の元へ行くぞ」
イーア
「あ…あぁ」
リノグ
「一時休戦ってのは…どういうことなんだレイム」
レイム
「南の蛮族がリヴィアに攻めて来たそうだ…南東から」
リノグ
「おぉ!…ん?それはこっちにとっても好都合ではないのか?」
レイム
「よく考えろ…タイミングを……これは俺たちまでもが囮にされているぞ。お前、依頼主からの金の受け渡しは青白時に城下町南東だったよな?」
リノグ
「え?…は?そうだが?」
レイム
「あぁすまない馬鹿だったな、考えなくていい」
リノグ
「おぃぃい!!どういうことなんだよっ!!」
レイム
「いいからお前は来い…チダイを迎えにいく」
リノグ
「あぁ…ぐっ!?すまん、脚が…」
レイム
「お前…あんな小娘に深手を負わされてるんじゃないぞ…ったく仕方ないな」
リノグ
「いっや強かったんだって!剣7本使ってくんだぜ?こう、こうやって持ってさ~」
レイム
「いくぞ」
リノグ
「聞いてよ」
●間5拍
ユクロ
「…はぁ?王子に雇われた?え、本気で言ってんのそれ」
チダイ
「マジもマジ大マジや、俺たちを雇ったリノグってやつが直接会ってたんを俺は見た。しかも報酬額が桁違い…リヴィアに屋敷持てるぐらいの額や」
ユクロ
「……王子が俺たちを殺そうとしている…のか」
チダイ
「信じるか信じへんかはお前次第やけどもな…しかも失敗しても青白時にまで引きつけて持てば引いてええ言うんやで?変やろ?」
ユクロ
「あのクソ王子、間違いない…何か企んでるな」
◆SE角笛
ユクロ
「笛二回……敵襲?」
チダイ
「間違いなくコレやろ…気ぃつけや?あんさんらは巧妙な罠にかかっとるかもしれんで」
ユクロ
「元々誰も信じちゃいない。信じるべきは己のみ…ご忠告感謝するよ」
チダイ
「せや………わいな、お嬢ちゃんとこ寝返るわ!よう見たらめっちゃタイプやわぁ自分」
ユクロ
「は?いやちょっと待て…お前さっきからお嬢ちゃんお嬢ちゃん言ってたのって……僕のこと?」
チダイ
「そやで?他に誰がおんねんなぁ」
ユクロ
「僕は男だ」
チダイ
「………それは笑われへん」
ユクロ
「いや、ほんとだって」
チダイ
「まじで?」
ユクロ
「まじで」
チダイ
「ないわぁぁぁぁぁぁぁあああああああああ」
レイム
「おい、チダイ」
チダイ
「っぉぅわ!!!びっくりしたぁぁぁぁ……なんやあんさんか…そっちは終わったんか?こっちも色々終わったわ、人生が」
リノグ
「馬鹿言ってないで引くぞ、南東から蛮族の大群だそうだ」
ユクロ
「やはり敵襲なのか」
チダイ
「そうでっか…リノグはん…あんさん一人で行ったらどないです?」
リノグ
「なんだと?」
レイム
「俺も同意見だな…リノグ、お前は奴に騙されている」
リノグ
「そんな馬鹿な!しっかりと金塊も用意されている!この目で見たんだ!お、俺は取りにいくぞ?いいのか?独り占めにするぞ?」
レイム
「はぁ……仕方ない…乗りかかった船だ、最後までつきあってやろう」
チダイ
「いったらええがな…俺は金よりもオモロイもん見つけたから二人にくれたるわ!」
レイム
「この国の王はどうしたんだ…あのシマク王子が仕切っているわけではないだろう?」
チダイ
「王さんはだいぶ前から病に倒れてるんやとさ」
ユクロ
「お前…何故それを」
チダイ
「有名な話やで?温厚に平和に生きとったら耳にせんけど、ひとたび裏の情報集めたらすぐ入る情報や…まぁこんな情報は情報言わんけどなぁ?」
レイム
「……何年も民に顔を見せていないそうではないか…それだけで察せるな」
◆SE騎馬隊が走り去っていく
チダイ
「お?リヴィア騎士団様のお通りやな」
ユクロ
「っ!?……今のは…ロウガ?迎え撃つのか?蛮族を…」
レイム
「じゃぁな、チダイと騎士団長のお嬢さん」
チダイ
「おう!リノグのおっさんをよろしくしたってくれや!」
ユクロ
「僕は男だっつーの!」
チダイ
「で?あんさんはどこに向かいたいんや?」
ユクロ
「城だ、確かめたいことがある」
●間5拍
フラス
「…騎士団が出陣している……ロウガ…ラウト、ウサチの部隊か……これは…」
イーア
「どういう……こと…でしょうか…王子は、どこに…」
フラス
「迎え打ったのか蛮族を……いや違うな…何か違和感がある」
ユクロ
「お帰りフラス」
チダイ
「こんちわ~」
フラス
「…また変なのを連れてきたな」
チダイ
「初対面で酷いなあんた」
イーア
「ユクロ!!王子は?シマク王子は?」
ユクロ
「僕たちが戻った時にはもぬけの殻さ…従者達に聞いたらロウガもラウトもウサチも出陣したそうだ…南、西、北の蛮族退治に」
フラス
「蛮族退治?…敵襲ではなかったのか?」
チダイ
「恐らくそれも撹乱やな、そのシマクっちゅう人はここを空っぽにしたかった…騎士団長の一人とさえ残したくなかった…それ相応の理由があるはずや」
ユクロ
「なるほど……しかしなんの為に……あ、そういえば…」
フラス
「なんだ…まだあるのか」
ユクロ
「や、従者が言うにはシマク王子が【動く鉄壁】の部隊も出陣させたっていうんだ…まぁあんな重装兵に遠出なんかできないだろうけど…」
フラス
「動く鉄壁を…何のために………ん?…まさか…」
●回想(エコーあれば)
フラス
「リヴィアの大陸統一から十年以上過ぎていますからね…あとはエフナ大陸のみですから」
シマク
「それだ、なぜ王はあのようなくだらぬ大会を開く大陸に攻め入らないのか…まったくわからん。俺ならとっくに攻め入っているよ。外界にも着工したいところだな」
●回想終了
フラス
「やられた…港だ」
イーア
「え…港?」
ユクロ
「まさか……エフナ大陸に…」
チダイ
「っ!?一人で行ったっちゅうんかいな?アホにもほどがあるやろぉ…」
フラス
「……こんな国はもぅどうでもいいと…そういうことか?王子……フフッ」
イーア
「王子…王子ぃぃぃいい!!!」
◆SE走る
ユクロ
「もぅ間に合わないよイーア」
イーア
「うるさいっ!!!」
チダイ
「おぉー怖っ!リヴィアはこんなオナゴばっかりかいなぁ?嫌やなぁ…」
●間5拍
リノグ
「ここだ……この砂袋の下に隠してある」
レイム
「どれ……よっ…と」
◆SEドサッ
リノグ
「は……は?これは……」
レイム
「ただの石…だな……やられたなリノグ」
リノグ
「まじかよ…俺の金…金塊…ははっ……くそっ!くそぉっ!!」
レイム
「…絶望に打ちひしがれている所悪いが」
リノグ
「なんだ?」
レイム
「死んでくれ」
リノグ
「ぁ」
◆SE斬る→落ちる
レイム
「悪いな」
◆SE納刀
レイム
「さ、帰るか……しかし、面白い国だった。また会おうぞ…リヴィア」
●間5拍
◆SE波の音
シマク
「いやぁ実に愉快だ!全員を出し抜いてやった!!もぅ俺はあんな国に用はない!!俺が欲しいのは……世界だ!はっはっは!!あーっはっはっはっは!!!待っていろヘッドハンターズ!待っていろ!インサニティ!!」
完
LIVING BY NECK HUNTING sidestory FOOLS KINGDOM SEN @sensensenkou
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