第18話 一番ライトの陽菜が打席にはいる
一番ライトの陽菜が打席にはいる。
いつものようにバットを片手で投手に向けた後、手首を中心に三回バットを回す。
その後、なんかウインクしているぞ。
この陽菜、髪はショートカットで、瞳が大きく、ほんわかしている天然系のキャラで、身長一六三センチ、スタイルも均整がとれているんだけど、一見隙だらけの女の子だ。
初球、真ん中、やや低めにハーフスピードの甘い球が来た。
ポイントを前におき、踏み込んだ足を軸に回転して、叩きつけるようなバッティングは、つま先重心タイプの特徴だ。鋭いゴロが一塁線に飛び、横っ飛びのファーストのグラブの先を抜けていきライトのファールゾーンに転がっていく。
陽菜は悠々二塁に達している。ツーベースだ。
次打者、ショートの美咲が自ら出したサインは、「ヒットエンドラン」
この美咲、髪は肩までの長さに切りそろえ、表情豊かで声も明るく、周りがどんどん彼女の魅力に引きこまれていく、そんなこのチームのムードメーカーだ
ツイテないときは往々に、ライナーゲッツーをくらったりするんだけど……。
美咲は冷静に投手の配球を女性ならではの勘で見抜き、一ボール一ストライクからの甘めのチェンジアップを叩く。
しかし、打球はピーゴロ。これでは三塁で陽菜が刺されると思うと、打球は、イレギュラーして、投手のグラブをはじき、三塁側に転がった。
一塁、三塁オールセーフ。どうなってるんだと考えると、不運度が美咲より相手のお山の大将の方が一枚上だとステータスでわかった。
三番、ライトの京だ。ツキのなさを抜け出し、さらに打撃に磨きをかけている。
この京、普段は背中までの長いストレートの黒髪をなびかせ、切れ長な瞳で相手を射抜くクールビュティーだ。野球の時は、後ろの方で髪をひとまとめにしている。
アウトコースの高めに入ったスライダーを、やや体がツッコミながらも、バットのヘッドを遅らせるこのタイプの理想的な打ち方、泳がされてナンボの打ち方で左中間に持っていく。センターが深いところで、転がっている打球を止め、ダイレクトで二塁にボールを返す。
少し、ボールがそれて、京も二塁、楽々セーフだ。
それにしても、このチームやたらダイレクト返球が多い。少しのミスでランナーが次の塁に行くリスクを考えるとあまりお勧めできないのだが。相手が女子チームということでいいところをみせようとしているのか?
陽菜が返って一点先行した。なおもノーアウト、ランナー二塁三塁だ。
陽菜に「ナイスバッティング」ベンチで声を掛けると、
「あのピッチャー試合前のトンボ掛けの時、「君可愛いから打たせてあげるよ。好きなコースは? 」って聞かれてナンパされた。
でも、打たせてくれるなら、まあいいかと思って、教えたらホント投げて来たから、びびっちゃった。おかげで初の長打が打てたけど、好みのタイプじゃないので後困るな」
なんて言っている。
「陽菜、打ったのはお前の技術だ。そんなの放っておけばいい」
俺も返事を返す。
「何か言い寄って来たら私がぶっ飛ばす」
空手をやっていた桜が陽菜を励ましている。その他の子たちも色々話しかけている。
ベンチの中で、恋バナを始めるとはまいったな。
気を取り直し、試合に戻る。
四番、センター麗奈だ。
彼女、おとなしくあまり普段から目立たないが、容姿はつぶらな瞳は小顔に反していて大きく、髪はショートボブで、身長も高くモデル体型をしている。
打撃、守備とも平均的で、野球もよく知っていて、あまり指導をすることがなく、俺も時々存在を忘れるが、ボールを飛ばすことに関しては天性のものがある。
それほどヘッドスピードは速くないが、バットにボールを当ててから、離れるまでが長い、物理的にはありえないが、バットにボールを乗せて運ぶタイプのバッティングをする。
多分、うまく説明できないが、後ろ脚に軸を置き、ボールがバットに当たった瞬間、体ごと後方に反り返ることで長くバットに密着させるような感じなのだ。
麗奈がいつものバッティングで、レフトフライを打ち上げる。
三塁の美咲が帰って、二点目、レフトがダイレクトにバックホームをしたため、二塁の京も三塁に達した。これで、ワンアウト三塁になった。
そして、五番サード、梨沙だ。
この梨沙、肩までの長さの髪に彫の深いはっきりした顔立ち、かわいいより美人タイプだ。体ツキも、結構凹凸がある男好きのする体形だ。
性格は攻撃特化型。流れが押せ押せでこういうときは、やってくれるタイプだ。
初球をきっちりセンター前に打ち返し、京を迎えいれ、三点目だ。
六番、セカンド、桃だ。
この桃、ショートカットで、いつも元気いっぱい、ちょっと小柄で小動物のような愛らしさが体全体からあふれている。時々大阪弁で毒を吐くのはご愛嬌か。しかし、今日はツキがない。
バントの構えから、バットを引き守備陣を翻弄した後、二ボール一ストライクから、ピッチャー前に、打球を殺したバントを決めた。ついてない者同士、相殺され、普通のプレーになり、二アウトランナー二塁。
七番、ファースト、葉月だ。
彼女、髪が背中まであるストレートの艶のある黒髪で、はっきりした目鼻立ちに、きつめの眼差しで、背筋がいつも伸びていて、近寄りがたいタイプの美人だ。
彼女のバッティングは、バットをほぼ水平に構え、胴を打ち込むように、踏込み体を平行移動させた後、右側にしっかり壁を造り、壁にぶつかったあと自然とバットが回って出てくるタイプだ。
今日はツイているので、自分のバッティングができるだろう。
思ったとおり、ライトに打球が飛び、ワンバンドでヒットになった。
二塁から梨沙が帰ってきて四点目。二アウトランナー一塁。
八番 キャッチャー 汐里だ。
汐里は、中肉中背で髪は肩位の長さでちょっとウエーブがかっていて、顔も派手めで本人の好奇心旺盛な性格にあった積極的なイケイケほい容姿をしている。
ここは、普通に打ってショートゴロでスリーアウトになった。
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