死ねば強くなる!地獄過ぎる異世界転生譚!
Leiren Storathijs
プロローグ 死亡転生
俺はある日、何の前触れもなく突然死を迎えた。心臓がピタリと止まり、呼吸が出来ず、頭が真っ白になる。
でも不思議と苦しくは無かった。まるで何かに呼ばれているかの様に俺の意識は静かに消えていった。
目を覚ますと、真っ白な空間に真っ白な服をTシャツを着た青年が立っていた。二十は超えていない、十七か十八くらいの細っそりとした体を持つ青年だ。
さらさら銀髪に目は隠れており、表情がはっきりと伺えないが、青年は俺の事に気がつくと、その見た目を裏切る様な明るい声色で、反応する。
「やっほー! よく来たね。待ってたよ」
俺は唖然として、その場で硬直する。
「あれ? 苦痛は出来る限り減らした筈だけど……おーい、目を覚ませー」
俺は目の前の状況を理解出来ない。此処は何処だ?目の前の青年は誰だ?俺は死んだのか?
「ま、いいや。そのまま話を聞いてくれ。今君は僕によって殺されました。なので、貴方にはとある実験に付き合って貰います。実験と言っても単なる暇つぶしなんだけどねえー。君は異世界転生って知ってる?」
俺は徐々に意識を取り戻していき、ようやく意識がはっきりする。
「あ……い、異世界、転生……?」
意識ははっきりしても、頭の整理が追いつかず、途切れ途切れに言葉を発する。
「そう。現実で死んだ人間が突如として、別世界に飛ばされる現象だ。まぁ、あくまで完全空想の話だから、現象と言える程でも無いんだけど」
此処で漸く頭の整理が追いつく。理解は出来ていないが、自分が今見知らぬ空間にいる事は理解した。
「それでね。殆ど人はチートって手に入れてるじゃん? やっぱりね、どんな物でも代償って必要だと思うんだよ。だから君には、チートを手に入れる為に代償を用意した。それは……死だ」
「なん、だと?」
「おや? 漸く意識がはっきりして来たかい? そう死だ。君には僕特製オリジナルのスキルを与えよう。その名も【死亡転生】だ。その時々にどんな風に死んだか、より強烈で、嫌な死に方をする程、良い新しいスキルが自動的に増える。そして死んだ際、瞬時に死ぬ事が確定される前の時間に、君の身体が巻き戻る。その時の世界時間は、君が何処何処で死んだという事実が残るだけで、君は幾らでも復活できる訳だ! 面白いだろう!」
「んな、馬鹿な。どうしてそんな事をする意味がある?」
「暇つぶしだよ、暇つぶし。僕の考えたスキルに君はどれほど対応してくれるかなーって」
「ふざけるな! そんな自分勝手な理由で!」
「はい、はーい。後の事は後で話してあげるから、とりあえず行ってらっしゃーい!」
青年は"面白い事を考えた"と言うと、俺の質問は無視して、指をパチンと鳴らす。
すると、俺はまたしても見知らぬ草原に立っていた。目の前には腹を空かした狼が涎を垂らしながら、こちらを見据えていた。
その直後に見た物とは、目の前の空中に文字が浮かんでいた。
所有スキル:
・【死亡転生】
《死ぬ事で新たなスキルが得られます》
「まて、やめろ、こっちに来るな……!」
俺は直ぐに理解した。この後、俺は死ぬのだと。
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