書籍化作品。虹色の約束。中編
結芽
第一時限目
肌寒い夜の道を自転車で走り、あっという間に拓の家に到着。
「腹減った、カップラーメンあったっけ…」
「拓拓っ…!」
あたしは家の中に入ろうとする拓の服を後ろから引っ張った。
「何だよ?」
「あのさ…」
「分かってるっての、何もしねぇよ」
「そうでなくて…!」
「じゃ、何だよ!」
ドアの目の前で、あたしと拓は小声で話す。
「朝起きてあたしがいたらマズイんじゃない?」
「何が?」
「だってほら…あたし一応…」
拓の両親の仲を壊した元凶の娘
お父さんのお兄さんは絶対いい気はしないはず…
「お前は関係ねぇだろ」
「でも、一応血は繋ってるし…」
「俺は、朝ちゃんと紹介するつもりだけど?」
「え゛っ!!」
「アホ!声でけぇっつーの!」
「ご、ごめん!」
拓が軽く身震いをした。
「トイレ行きたいんだけど」
「え?」
「とりあえずさ、話は部屋行ってからにしね?」
「本当に本当に大丈夫?」
「…ここでしてもいいのかよ?」
「わ―っ!ダメダメ!中入るからっ!」
ジーパンのチャックに手を掛けた拓の手を掴み、あたしは静かにドアを開け中に入った。
「先に部屋行ってろ」
「うん」
「部屋、覚えてる?」
「大丈夫」
自分の呼吸さえも響いてしまうのではないかと思う位、静まり返っている家の中
(無意識に息止めちゃうんだけど…)
あたしは忍び足で階段を上り、拓の部屋のドアを開けた。
部屋の中は真っ暗
「え~と、電気電気…」
ドア付近にあるはずのスイッチを手探りで探すが、中々見つからない。
「どこだろ…」
「ここだよ」
「ぅわっ!!」
ただでさえもビクついてるあたしの背後から拓がいきなり声をあげ、あたしはビックリして大声を上げてしまった。
「ば…っ!!お前ビックリさせんな!」
「それはこっちのセリフ!背後は隙だらけなんだからっ」
「ダッハハ!『ぅわっ!』だって(笑)せめて『キャッ』とか言えんかね」
部屋の灯りが付き、拓が笑いながらベットに腰を下ろす。
「何やってんだよ、早くドア閉めろよ」
「うん…」
緊張と驚きが抜け切らないまま、あたしはクッションに座った。
部屋の中は真っ暗
「え~と、電気電気…」
ドア付近にあるはずのスイッチを手探りで探すが、中々見つからない。
「どこだろ…」
「ここだよ」
「ぅわっ!!」
ただでさえもビクついてるあたしの背後から拓がいきなり声をあげ、あたしはビックリして大声を上げてしまった。
「ば…っ!!お前ビックリさせんな!」
「それはこっちのセリフ!背後は隙だらけなんだからっ」
「ダッハハ!『ぅわっ!』だって(笑)せめて『キャッ』とか言えんかね」
部屋の灯りが付き、拓が笑いながらベットに腰を下ろす。
「何やってんだよ、早くドア閉めろよ」
「うん…」
緊張と驚きが抜け切らないまま、あたしはクッションに座った。
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