手紙、…?

alcor

Lへと送る(プロローグ、挨拶)

 L,お前さんはお変わりない? まあおめさんは元気だろうね。君みたいなカマトトぶった女なんてのは。

 こっちは色々あった。まあ例えば、だな、お前さんじゃない別の人に告った。んで、良きだとよ。成長したでしょ。とはいえ、その先輩なんだけどさ、受験勉強に入って返信も来ない、部活も来ない、図書室でもあんま見ない。しかもこないだなんて屋上で一人歌いに行こうかな、って行ったときになんか、他の男(十中八九だが先輩の代の)と会ってたように見えた。シルエットだけ見て立ち去ったんだ。

 なんか、さすがだなって笑ってるでしょ。絶対に俺の前じゃ言わないだろうけどさ、分かる。俺ってダサいよなぁーー。

 まあ、さすがに自慢もしようじゃないの。水臭すぎると、引かれちゃうしね。俺は高校で学年一位を取った。三回ね。たしか、五回の模試の中で三回。なんか、もしかしたらここならLが来れるかもなぁって随分下げたから判定がSSSAだった県立高校に入ったからだろうけどさ、俺は、今ここからでしか見えない学校の頂からの景色を見てる。それに引き換えさ、おめさんはそれから8も偏差値落とした県立学校に落ちたね。何でさ。

 もちろん、もう最初から分かってるよ。「そんな才能なんてある訳ない!」って言いたいでしょ。ホントに、俺はLの前でその高校に行くんだって言わなくて良かった。ただ、おめさんが傷付くだけだ。あ、そうそう、以前、俺が自習のとき、幕張高校だとか頭イカれた学校の過去問やってたあれは遊びね。俺だって受からない。大体ね、この家からは通えないよ。まあ少し、仮にも受かったら将来ウハウハだとかときめいたりしたけどさ。

 あ、ここから先は本命の話だから、全く持って君に希望なんて明るいものは渡せないだろうから、イヤぁな自慢を挟んどいたのよ。

 でもお前さんはこの手紙(?)を見れないだろうな。俺はおめさんにラインを打つやる気も勇気も、過去を清算する決意も無かったから、宛先を書かずに、Lって名前だけ書いて、ポストに投函したからな。

 それに、もし行く先があっても……君はもう既に死んでしまってる。悲しいけれども。

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