放課後

俺は、3日連続で遅刻したかどで、先生にみんなの前でこっぴどく怒られ、罰として放課後に校内の掃除をさせられることに。

「ちょwwww3日連続で遅刻とかwww」

「スクールカースト最底辺の陰キャだと、こんな風に目立つしかねぇんだなwww」

「炎上商法ここに極まれりってかwww」

 そんな声がひそひそ聞こえてくるが、俺はもう慣れている。それより掃除をさせられるほうが辛い。俺は放課後、ほうきを持たされ、校舎の廊下という廊下を掃除し、そのあと校庭に散らばっている落ち葉を集め、最後に校庭裏の落ち葉を集めた。気づいたら、もう部活を終わらせたリア充どもが帰る時間だ。


「……ア、イタゾ、≪わかたけ≫ノ回シ者メ」

「やっぱ、こやつは冴えないのう。ほうきの使い方からしてなっちょらん」

「他の若者らは青春を謳歌enjoyしているというのに、なんと地味な」

 そこに、現れたのは例のお化け連中だ。

「あ! おい! お前らのせいで、掃除させられてんだぞ!」

「……はて? なんのことかの?」

「とぼけやがって! お前らが俺にいたずらしたせいで、3日連続で遅刻したんだ! 赤信号ピカーと改札ピンポーンとトイレドアグヮー、お前らの仕業だろ!」

「……知ラナイゾ、ソンナノ」

「若者よ、そんなことが我輩らのいたずらだと思ってたのか? フフ、見くびられたものだ。我輩らはいたずらをしようと、集まったのだぞ」

……今から、だと?


 その時、

「何するんですか!」

 という声がした。

 見ると、クラスメートの水野さんが、上級生の不良らに絡まれている。彼女はクラスの、いや、学校中のアイドル的存在だから、よくも悪くも注目される。

「へっへっへ、美佳ちゃん、俺たちと遊びにいかな〜い??」

 どうしよう、俺は言うまでもなく、喧嘩は無理だ。誰か呼びにいくか? と思った瞬間、手に持っていたほうきが急に空高く舞い上がった!

「おわーー!」

 手を離したら落下するから、握り続けるしかなかった……着地したのは不良らの前。

「なんだ、てめえは」

 相手からそう言われたら、展開上、こう言わざるを得ない

「み、みみ、水野さんに手だしたら、ゆゆ、ゆ、許さないぞ」

 そうすると、不良の一人が

「んだとぉ、生意気な」

 といって俺の胸ぐらをつかもうとしたが、

……つかめない?

 何度つかもうとしても空を切るばかり。

 他の奴が俺の腹目掛けて強烈なパンチをしてきても、

……当たらない?

 おお、俺透明ゴーストになってる! よし反撃だ。

 パーンチ!

……当たらない。

 っておーい、意味ないぞこれ。

「ハハハ、バーカ、お前はただの空気じゃねぇか」

 ええ、クラスでの存在感はそんな感じだ。

「こんなヤツほっといて、行こうぜ、美佳ちゃん」

「きゃーーっ、離してください!」 


「水野さんを離せー!」無駄だとわかっていたが、連中に突進した。すると、


「あぢーーーーー!」

 あれれ? 何が起きた。

 あ! なんか、俺の口の中が、熱い! 咄嗟に、自撮りで確認すると……口の中に、ランタンが燃えている!?

 よし、不良らに頭突きで攻撃だ! ランタンの火がヒット!

「うわちちち、なんだ、こいつはーーー!」

 不良たちは、雲の子散らすように逃げていった。


 すると、今朝トイレで見た動画で聞いたアレが鳴った。

 テーレッテレー!

上手うまい!」

「ヤルジャネーカ、≪わかたけ≫派ノ分際デ」

「我輩のランタンが決まり手なのが、とても宜しいぞ、若者よ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る