08 洗濯タイム



 近くに川があって良かった~。


 じゃぶじゃぶじゃぶ。


 ウォルド様の汚れたお召し物をひったくって、ではなく丁重にもらって川で洗濯中。


 うぉぉぉっ、これが押しの服。


 ただの布切れの分際で、私のウォルド様にひと肌温度で温めてもらえるとは、なんと憎らしいっ!


 むきーっ!


 ごしごしごし。


「お前は私のライバルだー。ウォルド様になれなれしく近づくんじゃなーいっ!」

「服洗いながら百面相して何やってんだ? それ以上洗うと、布がすりきれちまう」


 気が付いたら背後にウォルド様。


 はっ、またまたやっちまった。


 ウォルド様は洗い過ぎてほんのちょっぴりすりへってる服を手にして、適当に絞ってからお召しになられた。


 おおっ、ワイルド!

 でもそこも恰好良い。


「着心地悪くなってるな。あんた洗濯禁止」

「ええーっ!」


 そんなぁ、せっかくできる事があると思ったのに。


「血の付いた服なんてよく触りたがるな」


 濡れた服を着たウォルド様が背中を向けて語りかける。


「ちょっと赤くなったくらい可愛いもんでいっ!」

「なんか口調かわってねぇか?」

「血の付いた服だろうと汚れのついた服だろうと、それがウォルド様の服である事に変わりはないのでっ!」


 私の生涯の中では、もっと泥団子になった服を洗濯した思い出が山ほどあるしねっ。


「あんたやっぱり変わってる」


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