03 押し、いる



 長い回想だったけど、そんなわけであわてんぼうの女の子は、異世界に転移してしまったのさ!


 転移って事だから、死体は残ってないよね?


 ちょっと直前に声をかけてくれたおっさんとか、真面目なドライバー(たぶん)が気の毒だったから、血だまり形成してないと良いけど。


 やー。困った困った。


 普通いきなり異世界いくんかい?


 ただの女性学生が、異世界に行っても困るだけだぜ?


 ほんと、困った困った。


「こーこーはー、どこだーっ! 助けてーい、私の王子様ーっ!」

「おい、何だこのお嬢ちゃんは、営業妨害だ。どっか行け!」


 困り過ぎて、色々なところに迷惑かけまくっちまったよ!


 特に近くにあった露店のおっちゃん、変な風に騒いでごめんねっ。


 でも、悪い事ばかりじゃなかった。


 私が転移してのは「ヒロイック・プリンス」の世界で、その世界には押しキャラのウォルド様がいなさったのだから!


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