03 魔王との遭遇



 逃げて、逃げて、逃げ続けた私は、途中で力尽きてしまった。


 魔物に襲われて、怪我を負い、何とか逃げ出したはいいものの、疲労のため回復するための魔法が使えなかったのだ。


 私は、大きな木の根元で、なすすべもなく倒れ込んだ。


 意識を失う寸前、誰かが近づいてくる気配が分かった。


 もう指一本動かす事すらできない。


 それが魔物でない事を私は願った。


 それから、どれくらい時間が経ったのか。


 目を覚ました私の目の前にいたのは、魔王だった。


 場所は魔王城の牢屋。


 魔王は邪悪な笑みを浮かべていた。


「くくくっ、何があったか知らないが、この堅牢な地下には誰もたどりつけまい。おとなしくここで閉じ込められてるんだな」


 私はほっとした。


「助けてください魔王様。というかむしろ私をここに置いといてください。勇者様に命を狙われてるんです!」

「えっ?」


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