02 できるだけ遠くへ



 勇者様から逃げる私は、できるだけ遠くへ向かう事にした。


 勇者様の近くには、何人もの仲間がいるけれど、彼等は私の味方ではない。


 みな、魔王になろうとしている勇者様を崇拝しているため、「勇者様がそんなことを言うなんて」と私の言葉に聞く耳を持ってくれないのだ。


 だから、私は一人で行動しなければならなくなった。


 けれど、私は聖女。


 できる事といえば、傷を癒す事と魔を払う事ぐらい。


 戦う力は皆無だ。


 そんな私がどこまで逃げられるだろうか。


 分からないけれど、立ち止まる事はできなかった。


 立ち止まれば確実な死が待っている。


 けれど、前に進めば生き残る確率は、低いながらも存在している。


 勇者一味から逃げる日々が続いた。



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