王子サマ、暗殺しにきまし…えっ妻になれ?

仲仁へび(旧:離久)

本編

01 プロローグ きっかけ



 それはとある王子が、幼かったころの話。


 灯の無い廊下。暗闇の中に紛れて、一人の少年は、耳をそばだてていた。

 扉の隙間から、部屋をのぞきこんでいる。


 部屋の中には、ひそひそ声で喋る大人が二人。


 一人は国の王で、もう一人は少年の教育係。


 少年は、王と教育係がかわす会話を盗み聞いていた。

 

 部屋の中にいる二人は、どちらも難しい顔をしていた。

 

「王子の様子はどうだ」


 王が言えば、教育係がため息交じりに応じる。


「あれはだめだ」

「ならきまりだ」


 そしてまた王が言えば、教育係がほっとしたように応じた。


「とんだ期待はずれでした。この分だと決まり通りになりそうですね。私もこれ以上頑張らずに済みます」


 王子はそれだけを聞いて、部屋の扉から離れていった。



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