凍る彼女
デミロマ会議
プロローグ
生きているものが苦手
0-1
私は昔から、生き物全般に苦手意識がある。
例えば虫。見た目の気持ち悪さはもちろんだけど、予測不可能な動きをするところに恐怖を感じる。仕留めようと思って狙いを定めると、突然飛ぶときとか。蝶々やてんとう虫など、綺麗とされる昆虫もいるけど、残念ながら私はそういった感情を持てないでいる。
カラスも怖くて仕方がない。実際に何か危害を加えられたことはないものの、幼い頃に聞いた「目が合うと襲ってくる」という話を未だに信じていて、道でカラスを見つけたら絶対に見ないようにするし、できるだけ距離を取る。特に、子育て中のカラスは子供を守るために凶暴になるらしい。でも、そんなのはたから見ても分からないので、もし道のど真ん中にいる場合はほかの人が歩いた拍子にカラスがいなくなるのを待つか、しばらく待っても動く気配がなければどんなに遠回りになっても道を変える。大きくなっても変わらず警戒しているので母親には笑われるけど、そのくらい私にとっては怖いもの。
ここまでは共感してくれる人もいるかもしれない。でも、これはどうだろうか。みんなが大好きな、犬や猫。写真や遠目で見る分には可愛いと思えるけど、近づかれると噛まれるのではないかという恐怖に襲われる。今まで一度も噛まれた経験はないけれど。どんなに大人しかろうと、しつけがちゃんとされていようと、生き物なんだから絶対に噛まないという保証はない。もし「犬か猫どっち派?」と聞かれたときには、どちらかと言えば噛まなそうなので「猫派」と答える。でも本当はどっち派でもない。正直に話せば、話が盛り上がらないし、好感度も下がってしまうかなと思って、言えない。
そして、何よりも、人間が苦手。
なぜなら、今目の前にいる人が、何を考えているのか、私のことをどう思っているのか、次にどんな行動を取るのか、読めないから。
そう思うようになったきっかけは、小学3年生のときの親友、ゆりちゃん。正確には、私が親友だと思っていただけだった。
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