顔がいい女の話
あさねこ
顔がいい女の話
初めまして、顔がいい女です。それ以上でもそれ以下でもありません。顔もいい女でも、顔はいい女でもなく、顔がいい女です。
そして、私の向かいの席でアイスコーヒーを飲んでいるのは私の彼女です。私と彼女は幼馴染で、付き合っています。百合カップルです。
今日はデートです。と言っても、スタバでコーヒーを飲みながら益体もない話をするだけなのですが。
それだけなのに、やたらと周りの視線が集まります。たぶん、私の顔がいいせいでしょう。皆、一度私のほうを見てから、次に、彼女のほうを向く。中には、彼女の顔を見てあからさまに表情を変える人もいます。
彼女の顔は別に、そこまで悪いわけではないと思います。むしろ、平均よりは上じゃないかと思います。
でも、私の顔がいいから、彼女の良さが薄れてしまうんでしょう。私の顔がいいから。
彼女はいい子なんです。そんな反応をされても、嫌な顔一つしないんです。
私は顔がいいから、今まで多くの人と距離を取られてきました。でも、彼女はずっと私のそばに居てくれたんです。
そんな彼女に対する社会の反応がこれか。
私は言いました。
「嫌じゃないの?」
「何が?」
「その……私と一緒に居ると、周りの目とか。」
「……ああ、そんなこと気にしてくれてたの?なんか恥ずかしい。」
「……どう、思ってるの?」
「どうって、普通だよ。ずっとこうだったじゃん。今更って感じ。……それに、」
「それに?」
「これってあんたの顔がいいって証明じゃん。彼女の美貌が万人に認めてもらえているようであたしゃ嬉しいよ。」
そんなふうに茶化しながら言ってくれる彼女を、私はこれからも大切にしていこうと思います。
以上、顔がいい女の話でした。
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