第25話
[ 【βρυκόλακας -ヴリコラカス- 】25 ]
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「”勝率はある”か....良くて相討ちだな。なぁ?化け物が」
『美しい情だなァ、偽善者が』
血はドームの召喚で使い果たした。
武器は、持ってきた金属バットしかない。
「悪魔同士....」
「『___精々踊ろうぜ!!』」
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目が覚める。
暗い、寒い部屋にいる。
手足は枷で繋がれ、身動きがまるで取れず、
繋がれている部分には、記憶はないがもがいた痕が残っている。
暗闇から、声が聞こえる。
『やぁ、吾立 湊』
「お前....は...誰だ....?」
『そうだね、強いて言うなら”プロフェッサー”かな。皆は私をそう呼ぶし』
そう言いながら、”プロフェッサー”は空になったポリタンクを目の前に転がす。
だがその内側は真っ赤に染まっており、血液を溜めていたのだろう、所々黒く透けて見える。
『問題です。これ、誰の血?』
「........はぁ?それよりお前には聞きたいことが山ほどあるんだよ....」
『いいからいいから。答えてよ』
「......そんなもん知るわけねぇだろ....」
プロフェッサーは口の端を歪め、話す。
『記憶が残ってなかったか。君、さっきソレを必死に貪ってたからさ』
「..........嘘だろ....」
『嘘じゃないよ。血魔はすべからく、エネルギーを失うと本能的に血を激しく欲することが判明してるんだ』
人間の血を啜るまいと、尽力してきた俺だ。
こいつは俺を欺こうと嘘をついている。
『甲原 深怜。覚えてるかい?』
「....あぁ」
『彼女の能力は”奪取”とされていたね。しかし、それは間違っていた』
「......どういうことだ」
『すべての血魔は、別の血魔の身体を余すことなく喰らうことでその力を我が物とすることができるんだ。知らなかったろ?』
突然知らされる驚愕の事実。
『彼女はその事実を隠し続け、多数の血魔を喰らい、能力を奪っていった。僕はその補食を行った血魔を、”ハイブラッド”と呼んでる』
「............」
『吾立くん。君もその一人になったんだ』
何を言い出すかと思えば、見え透いた嘘だ。
俺を混乱に陥れようとしているつもりか。
『君が先程貪ったソレは、雲雀 絢香だよ』
「.........嘘だ....騙そうったって....!!」
『コレを見なよ』
プロフェッサーは手に持っているモニターのリモコンのスイッチを入れる。
そこには、人間大のミキサーのような装置で、上げる叫びも空しく粉々に。液状に撹拌される絢香。
見覚えのあるポリタンクに移される絢香。
それを躊躇なく啜る、仮面をつけた俺。
『これが真実だ。納得してくれたかな?』
「嘘を....ッ!!」
嘘じゃない。
「______つくなぁあぁぁぁあぁアァァアァぁあぁぁぁあぁッ!!!!!!」
”プロフェッサー”
非人道的な方法を多用し人工的に血魔を作り出している、素性が一切不明の独立科学者。
元は”クローバー”の血魔研究部に在籍するエリートであったが、突如として自身に関する情報、ないしそれを持つ人間全てを抹消し、クローバーを去った。
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